【活動名】ABSアナウンサー読み聞かせ隊
【実施期間】令和3年11月~令和4年2月
【実施回数】会場4回
<事業実施の成果・課題>
- 人繰りが厳しい中、ANを派遣するには困難も伴うが、読み聞かせは目の前にいる子どもたちの反応がじかに伝わる、いわば「ライブ」であり、スタジオでのオンエアとは違う貴重な体験として継続したい。学校側も、例外なく、たいへん喜んでくれている。
- 新型コロナの感染拡大を受けて、各校には直前まで「感染による休校や学年閉鎖などは出ていないか」「学校や教育委員会の方針で、外部からのの立ち入り制限などが命じられていないか」を確認した。幸い4校中3校は、対面での読み聞かせができたが、最後の1校は感染が急拡大していた時期でもあり、こちら側から申し出てリモートでの実施となった。
以下、特別支援学校と結んで初のリモートを実施した鴨下望美ANの報告。
■事前確認
担当の先生に前日チェックをお願いしました。音声や動画に問題がないか、画面共有をどのようにするのかなど事前に確認できたので、リモートの操作については問題なく進めることができたと思います。
有線を使用せず会社のWi-Fiのみで音声映像とも順調でした。また、今回読み聞かせを行ったのが支援学校ということもあり、ほとんどの生徒が言葉をうまく話すことができませんでしたが先生と直接打ち合わせをし、ひとりひとりの情報を共有していただいたので生徒たちに合わせた発声練習などを用意することができたと思います。こういった生徒が対象の時は、事前の確認が非常に大事だなと思いました。
■発声練習もろもろ
今回はひらがなをすぐに読めない生徒さんが多かったので、先生に教えてもらった好きなものや芸能人の写真を用意して、その横に文字を出して、ゆっくり大きな声で3回言ってみる、という発声練習にしました。
今回は簡単なパワーポイントを作成し、画面共有でやってみたのですが、おそらくカメラで手元の資料を見せるより見やすかったですし、作るのは手間ですがかなり簡単だったので、リモートの際は用意するといいかなと思います。
太田アナはセリフ読みの指導を担当し、このセリフを怒ってやってみよう、怖いなと思ってやってみよう、などわかりやすく丁寧にアドバイスしてくれました。
生徒も意欲的に取り組んでくれていたので、よかったと思います。
■改善点
今回は太田アナと二人で参加させていただきました。
一緒の空間のほうが意思疎通しやすくて良いかと思い、同じ会議室で行いましたが、両方のマイクがONになっていると音が回ってしまって聞きづらいなと感じました。
どちらかが絵本を読んでいるときはミュートにできるので気になりませんでしたが、最初のあいさつや発声練習は二人ともONにしているので…。
会議室に余裕があれば一人一つ部屋を用意しても良いのかもしれません。
■リモートの感想
きらり支援学校ではリモート授業をする機会が多かったようで、小型のマイクやカメラなど機材もそろっていましたし、ITに詳しい先生もいらっしゃったので、比較的スムーズに進めることができました。
そのマイクがあってもどうしても聞き取りづらいときがあったので、パソコン内蔵のマイクしかない、機材がそこまで整っていないというような学校だと、リモートでの読み聞かせ、発声練習は少し難しいかもしれないとも思いました。
<事業担当者およびアナウンサー(講師・読み手)の感想>
- 1年生から6年生までの全校児童189人に、体育館で読み聞かせをしました。1冊の絵本の中から短編を2作品読んだところ、楽しいお話の時は、主に低学年の児童が笑って盛り上がり、真面目なお話の時は、高学年の児童が真剣に聞いてくれました。普段から本を読むことが好きな児童が多かったので、その学年なりに、楽しみながら聞いてくれたと思います。(酒井茉耶アナウンサー)
- コロナ禍で、大きな声での発声練習やアナウンサー体験が制限される中ではありましたが、子どもたちの心が動く瞬間を肌で感じられる、素敵な機会となりました。オンラインなど画面を通しての読み聞かせ、朗読では味わえないライブ感があり、「面白い」「悲しい」「嬉しい」といった子どもたちの感情が、瞳の輝きやマスク越しの息遣いを通して感じられました。(佐藤有希アナウンサー)
- 今年もできることを模索しながらの読み聞かせでしたが、除菌シートや使い捨てマイクカバーを持参し、学校側もアルコール消毒液を準備してくださったので、感染症対策を講じて無事開催することが叶いました。子供たちは読み聞かせの際は静かに耳を傾けつつ、職業講演の際は積極的に挙手をしてくれ、とても主体的に参加してくれました。校長先生からは「これまでは地域の方の読み聞かせを行ってきたが、コロナ禍でここ2年は中止にしてきた。児童にとっては久しぶりの機会なので、心から楽しみにしている」と言っていただき、実際にその心待ちにしていた気持ちがあふれ出ているような時間に感じました。まだしばらくはコロナ禍での読み聞かせになると予想されますので、引き続き「この状況で何ができ、子供にどう参加して楽しんでもらうか」の検討を続けながら行っていきたいと思います。(関向良子アナウンサー)
冒頭の自己紹介から、出演番組などに「知ってる!」「見たことある!」と手を挙げてくれる子ども達がたくさんいて、想像以上の反応に驚きました。読み聞かせは、2冊で20分程度と少々長めだったのですが、皆最後まで真剣にしっかりと聴いてくれました。読み手としても有難くいつもより気持ちもこもりました。
その後、小学6年生に職業講話を行ったのですが、全員手元にペンとノートを用意してメモを取りながら話を聴いてくれました。最後の質問コーナーでも「1本のニュースにどのくらい準備する?」「今までで一番びっくりしたニュースは?」など多くの質問があり、アナウンサーという職業に興味を持ってもらえたのかなと感じ、とても嬉しかったです。(竹本多佳良アナウンサー)
<教諭・保育士・子どもたち・視聴者などの感想>
- 読み聞かせでは、登場人物や感情によって話し方を変えていたのが印象に残っています。
いつもは挿絵を見ながら読み聞かせを聞くことが多かったですが、今回のように声に注目して聞くことで、普段は気付くことができなかった声の速さや高低差の違いを感じながらじっくり聞くことができました。
後半の発声練習では、様々な種類の早口言葉を練習して、話すことの難しさを実感しました。「早く話そうとせずにまずは正確に話すことが大切」と学び、特に放送委員の生徒は今まで以上に児童生徒に分かりやすいような放送ができるように、早速教えていただいたことを活かす姿が見られました。
生徒たちにとって、アナウンサーの方から直接ご指導いただいたことは貴重な経験になりました。ありがとうございました。(天王みどり学園 楢岡優美子先生)
- とてもきれいな声で聞きやすく、絵を見なくても想像で楽しむことができたので、すごいなと思いました。2冊の本では、相手に優しくするところが似ているなと思いました。(牛島小学校 児童A)
声が透き通っているようで、とてもきれいでした。役になって声を変えるところがすごいと思いました。楽しい時間でした。(牛島小学校 児童B)
- 鴨下さんのリードで、子どもたちが発声練習など楽しく取り組めていたので、大変ありがたかったです。また、太田さんによるせりふの実践、指導も子どもたちが答えられない場面でも上手に対応下さり、さすがでした。
本の読み聞かせについては、子どもたち、食い入るように見て、聞いていました!!プロの力、やはり素晴らしいなと感心させられました。個人的に私も勉強になりました。子どもたちは昨日から緊張したり、今朝は珍しく寝癖を直してきたり(笑)……今日、鴨下さんと太田さんに会えることでいつもとは違う様子でした。彼らなりに楽しみにしながらも、意識高めで、気持ちとしても精一杯頑張ったようでした。貴重な経験をさせていただきました。本当に感謝です。(きらり支援学校 高澤衣久子先生)