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全盲の国語教師、新井淑則(あらい・よしのり)さん。
両目の視力を失いながら、普通中学で授業を受け持ち、1000人以上の生徒たちと歩んできた。
生徒からは親しみを込めて「ヨシノリ先生」と呼ばれる。目が見えなくてもスラスラと黒板に字を書き、新年度の度に生徒全員の声をICレコーダーで覚え、声だけでどの生徒かが分かる。
「目が見えないのにすごい」「本当は見えてるのかな」と驚く生徒たち。生徒や保護者の不安を払拭し、特別だった先生は、いつの間にか当たり前の存在へと変わっていった。
大学卒業後、念願の教師となり充実した日々を送っていたヨシノリ先生に突然の悲劇が襲ったのは28歳のとき。右目に網膜剥離を発症し失明。さらに34歳で左目も失明し視界は閉ざされた。自宅に引きこもり自殺も考えたが、支え続けたのは家族だった。
ヨシノリ先生は点字の習得や盲導犬との歩行訓練など地道な努力を重ね、10年以上に渡る訓練の末、盲導犬とともに普通中学への復職を果たした。「見えないからこそ教えられるものがあるはず…」
学校で大切にしているのは、学力の向上だけではなく、生徒の声を聞くこと。生徒たちは言う。
「『できないことよりできることを数えなさい』という先生の言葉がすごく印象に残っている」「ヨシノリ先生の力は自分だけではなく他人にも影響するのかな…」
教師になって37年、定年を迎えることになったヨシノリ先生。最後の授業で生徒に語りかけたのは「勉強より心が大事なんだよな…」というメッセージ。
卒業生を送り出し最後の勤務日。同僚たちへの挨拶で意外な言葉を口にした。
「前例がない教師だったので頑張ってきたけど、いい父親、いい夫ではなかった…」
その直後、ヨシノリ先生との連絡が途絶えた。
再び会うことができたのは10カ月後。
ヨシノリ先生はベッドに寝たきりで変わり果てた姿だった。周囲との連絡を絶ち、家族のもとを離れた療養生活。学校の取材ではわからなかった心の内。
再び絶望の淵に立っても、描き続けた夢とは…
全盲先生…魂の記録です。
リリー・フランキー
1963年生まれ、福岡県出身。
イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。初の長編小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は2006年本屋大賞を受賞、また絵本「おでんくん」はアニメ化された。
映画では、『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)でブルーリボン賞新人賞、『凶悪』(2013/白石和彌監督)と『そして父になる』(2013/是枝裕和監督)で第37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞(『そして父になる』は最優秀助演男優賞)など多数受賞。第71回カンヌ国際映画祭では、主演を務めた『万引き家族』(2018/是枝裕和監督)がパルムドールを受賞。
ディレクター:猿渡研二(フレックス)
「きれいごと言えば、大切なものは目に見えないんだよ…」
ヨシノリ先生が少し照れながらインタビューに語った言葉です。
「目が見えない先生」がどうやって教えるのか…その素朴な疑問が取材のはじまりでした。
長期間の取材を通して、共に助け合って生きていくチカラが育まれるのを何度も目の当たりにしました。感じたのは“人間讃歌”。人生は時に理不尽で儚いもの。でも一方で、人間は逞しくて優しい。
ヨシノリ先生は聖人君子ではなく、私たちと同じ“普通の人”だったように思います。
教職に夢を抱いていた“普通の先生”が、突如視力を失い絶望の淵に立たたされる…それでも情熱を失わず、血の滲む努力を重ね教壇に戻ってきた。その根源にあったのは、人一倍、生徒と向き合うことが好きだったからではないでしょうか。大きな希望と深い絶望を生きてきたからこそ、どんな生徒にも寄り添うことができる。時に愚痴をこぼし、時に弱音を吐くこともありました。その飾らない姿がとても魅力的でした。
37年の教師人生を終え、同僚に向けて最後に残した言葉。「前例がない教師として頑張ってきたが、いい夫、いい父親ではなかった…」意外な告白に戸惑いました。それまで聞くことがなかった家族についての思い。学校の中での取材では知ることがなかった心の内。
″カメラで捉えてきたもの、カメラからこぼれ落ちたもの…〟ヨシノリ先生の生き方・想いにどれだけ迫れるのか、葛藤を感じながら番組制作を進めてきました。
見える人生と見えない人生、「光と影を生きた」ヨシノリ先生の人生を通して、生きることの重さ、尊さを感じてもらえればと思っています。