#77 日本一小さなワイナリー!~自給自足シェフの挑戦~

2015年1月11日(日)(テレビ朝日 放送) 青森放送制作  協力 文部科学省

shokukikou77-2.jpg青森県弘前市にあるイタリアンレストラン「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」は、全国からお客さんがその味を求めてやってくる人気店です。

オーナーシェフの笹森通彰さん(41)の一日は、自家農園の収穫作業から始まります。ハーブだけでおよそ10種類。他にもレタス、コールラビ、ズッキーニなど、たくさんの種類の野菜を育てています。料理に使う卵は全て農園で育てている烏骨鶏のもの。笹森さんは幼い頃から、実家で飼っていた烏骨鶏の卵を食べて育ったと言います。笹森さんにとって、畑は常に身近にあったものだったのです。

shokukikou77-6.jpg店は自宅から車で15分ほど。セラーでは自家製の生ハムやチーズが熟成中。フレッシュなモッツァレッラを使ったチーズ、「ジャージーミルクのブッラータ」は、2014年のJAPAN CHEESE AWARDで金賞を受賞しました。

shokukikou77-7.jpg笹森さんは7年前、100本の葡萄の木を植え、ワイン造りに挑戦し始めました。その理由は、自家製の生ハムやチーズに合わせるワインを作りたいから。「自家製」にこだわるからこそ、自然に辿り着いた目標でした。

2013年の葡萄は、天候の影響で最悪の出来でした。それでも笹森さんは諦めません。2014年、自宅から歩いて5分ほどの所に新たに1haの畑を購入。shokukikou77-3.jpg900本の苗木を植えたのです。収穫できるのは早くても3年後。笹森さんは夢に向かって邁進します。

 

そして2014年の秋、自宅そばの葡萄畑は収穫期を迎えます。果たしてその出来は・・・。18か月間に渡る長期取材で自給自足100%を目指す笹森さんに密着し、目指す未来に学びます。

編集後記

ディレクター:小山田 文泰(青森放送)

笹森さんは2007年に100本の葡萄の苗木を植え始めます。理由は、「自家製の生ハムやチーズに合わせるワインを自分の手で造りたいから」というシンプルなもの。2003年にイタリア修業から帰国して以来、自家農園での野菜栽培は続けて来ましたが、ワイン用の葡萄栽培は初めての経験です。葡萄畑の仕立て方、葡萄の手入れ、どんな品種が合うのか、試行錯誤が続いていました。
こうした「栽培実験」が続けられている中、弘前市が「ハウスワイン特区」に認定され、地元農家が自分で生産した果実を使って果実酒を製造し、自分が経営するレストランなどでその果実酒を提供することができるようになります。実はこれ、笹森さんが創設を市に働きかけてできたもの。笹森さんは言います。「何で他の人はやらないんだろう。やりたいっていう人はいるのに」。笹森さんは「やりたいことを実現するために一歩を踏み出せる人」なのです。

収穫した葡萄は、笹森さんの自宅の裏にある八畳二間の「秘密基地」でワイン醸造を行います(とは言っても「認定済み」ですが)。初めて見る手動の圧搾機やコルク打栓機が置かれていて、瓶づめやラベル貼りも自分たちで行っていることに驚きました。笹森さんは「生産本数が少なくて、自宅では買ったイタリアワインを飲んでます」と笑います。

笹森さんの自家農園を初めて訪ねたのは2013年、春。この年の豪雪のせいで折れかかった木には、笹森さんが巻いたテーピングがしてありました。植え替えて2年目の木はまだ背丈も低く、「本当にこの木が実を付けるのだろうか?」と思うほどでした。しかし、それから通う事18か月。ワイン造りの工程を拝見すると共に、しっかりと津軽の大地に根を張り、葉を広げて太陽の日を受け止める葡萄が愛おしくさえ感じられるようになりました。このワインは笹森さんの作る料理と共にいただきたいものです。

番組情報

◆オステリア エノテカ ダ・サスィーノ 
Dinner 18:00 – 21:00 (L.O.) 日曜定休
【住所】青森県弘前市本町56-8 グレイス本町2F
【電話】0172-33-8299
【ホームページ】http://dasasino.com/

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