#72 最北の海女!潜って生きて80歳

2014年11月30日(日)(テレビ朝日 放送) 北海道放送制作  協力 文部科学省

shokukikou72-2.jpg 北海道松前町の石山ヨネ子さんは、日本で最北の海女です。戦後まもなく、海女の町として有名な石川県輪島から出稼ぎに来て、松前の漁師と恋に落ちたのが、ご本人いわく「運の尽き」。輪島より水温が3度は低い北の海に半世紀以上も潜り続けることになりました。

shokukikou72-3.jpgヨネ子さんの漁場は松前沖の無人島、松前小島。日本海を流れる対馬暖流に北からの寒流が入り混じるこの海域は、魚種が豊富。海底には海の栄養をたっぷりと吸った食用の昆布、「細目昆布」が育ちます。特有の粘りと旨みがある、知る人ぞ知る逸品。ヨネ子さんはこの昆布を取るのです。「もう年だ」と言いながらも、水中を自在に動くその姿は人魚を思わせます。鮮やかな身のこなしに、ベテランの水中カメラマンも驚愕の声を上げました。

shokukikou72-7.jpgそんなヨネ子さんに9月半ば、思わぬアクシデントが……80歳の誕生日を病院のベッドで迎えることになりました。最北の海女に、海、味、そして人生の奥深さを学びます。

編集後記

ディレクター:河野 啓(北海道放送)

<この人、本当に潜れるの?> 私はそんな疑念を抱きながら、コタツで韓流ドラマに見入る石山ヨネ子さんの横顔を盗み見ていました。深く刻まれた何本もの皺、鼻からずり落ちそうな眼鏡、その風貌から「海のサムライ」をイメージさせるものは何一つありませんでした。しかし、7月末になって、私は言葉を失いました。北海道松前の町から1時間半の無人島、松前小島。その海に潜るヨネ子さんの姿は、勇壮、華麗、妖艶、神秘…とにかく凄いのです!ベテランの水中カメラマンも興奮して、マウスピースをくわえたまま「ホンニャラニャラニャラ」とご本人に向かって喋りまくっています。「すげえ!人魚みてえじゃん!」とか言っているのでしょう。ヨネ子さんは、戦後まもなく海女の町として有名な石川県能登半島の輪島から、昆布漁の出稼ぎのため松前にやってきました。最盛期には50人以上の海女が能登から渡ってきたそうですが、私は知りませんでした。ヨネ子さんは日本最北の海女にして、松前に残る最後の海女でもあります。ヨネ子さんの吹く磯笛は、どこか懐かしくも物憂げに、絶海の孤島に響きます。そのヨネ子さんが腕を骨折をした、という連絡を受け、私は慌てて病院に駆けつけました。時折痛そうな表情を見せながらも冗談を言って笑うヨネ子さんに、海で命がけの漁を続けてきた女性の強さを感じました。来年の夏も取材したい、取材する責任がある、強くそう思っています。実は当初、NHKからも取材の依頼があったそうですが、ヨネ子さんは私の取材を選択してくれました。「NHKは電話は何回もあったけど、あんたはわざわざ来てくれたからな」肉体を使って生きる人は、そんなところを見ています。片道6時間の取材交渉は無駄ではありませんでした。

番組情報

  • 「細目昆布」商品
    海女のかあさん印松前小島こんぶ 1袋500円

    ※松前町内「道の駅 北前船松前」で販売
    【住所】〒049-1506 北海道松前郡松前町唐津379
    【電話】0139-46-2211

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