#71 古都・首里の熟成ものがたり

１１月になると沖縄・首里に広がる琉球王朝時代の光景。その首里で宮城信博さん・礼子さん夫妻が、完全予約制の「潭亭（たんてい）」という小さな店を構えている。二人が城下町の首里で出しているのは、「八重山料理」と銘打った料理。「八重山料理」とは、琉球王朝時代に、石垣島に来た首里からの役人をもてなした、八重山精進料理。沖縄本島ではあまり食べない食材をいただけるのも、潭亭の魅力の１つ。

石垣島出身で長年、首里に住んでいる二人には、野菜を中心とした八重山料理をここ首里で伝えたいという思いがある。料理を作っているのは礼子さん。中でも礼子さんが好きな料理が「漬け物」「漬け込み料理」。ゴーヤーの梅干し漬けを作るために、まずは梅を取り寄せて梅干しを作り、そこからゴーヤーを漬け込んで１年半寝かせてお出しするというこだわりよう。さらに、沖縄の秋の花、「クワンソウ」もつみ取って一気に漬け込んでいく。

時間をかけて漬け込んでいくと味に深みが増す、その「変化」が漬け物料理をこよなく愛する礼子さんの原動力。さらに、礼子さん、信博さんの料理への向き合い方を取材していくうちに「夫婦の熟成の姿」も見えてくる・・・。

編集後記

ディレクター：本村　亜希子（沖縄テレビ）

今回の番組内であるお客様が語った一言「沖縄の人は何でも食べるね」。
これがこの番組で一番言いたかったことかもしれません。
「三里四方で採れるものを食す」。自然のものをありがたく、無駄なく頂く姿勢は、
知恵を絞りながら生き抜いてきた沖縄の先人たちの生き方そのもの。
そして、それを日々の暮らしに活かしているのが、今回の主役である宮城さん夫妻です。
食材の良さをひきだすためならどんな時間も惜しまない夫婦の姿と、沖縄の秋の景色をこの番組で多くの人に見て頂きたいと思います。