#31 そば道楽の極意 ~信州の山郷に学ぶ~

2013年12月15日(日)(テレビ朝日 放送) 信越放送制作  協力 文部科学省

shokukikou31-1.jpg 信州・八ヶ岳の麓の小さな里に、古い民家を改築したそば屋があります。その名は職人館。
主人の北沢正和さん(64歳)は、そばや料理の世界で身を立てたいと、20数年前に役場職員という安定した暮らしを捨てて転身。伝統的な食文化から生活を見直し、地域のつながりや活力を見出したいという強い思いがあります。
旬の野菜などを使った料理も提供し、地産地消をめざしてきました。そば粉も地元産で、辛めに仕立てたつゆは、地元の丸大豆を使った醤油を生かすといった徹底ぶりです。

shokukikou31-6.jpg高冷地に近い風土は、極上のそばを育んできましたが、農家の高齢化などで荒廃農地が増え、過疎化も進んでいます。
一方で、都会から移り住み、有機農業を始める人たちもいます。新旧織り交ぜた多様な人間模様が山郷に賑わいを生み出しています。
北沢さん曰く、「足元にこそお宝がある」。
世界中の食材が簡単に手に入り、外へ外へと目を向けがちな時代に、”人の縁”や身近な暮らしを大切にして生きる山郷の人々を通して、現代の暮らしと食について考えます。

編集後記

ディレクター:手塚 孝典(信越放送)

 北沢さんとの出会いは10年ほど前。信州そばの名店を訪ねる情報番組の取材でした。「作ってくれるのは山野の自然と農家の人たち。俺は何もしていない」、と笑う北沢さん。誰もが「そんなはずない!」と突っ込みを入れるほど、そばや料理は繊細で絶品。そして、くしゃくしゃの笑顔や率直な物言いは人間味に溢れ、とても魅力的でした。今回は、さらにパワーアップしていました。「ぜひ試してくれ」と勧められたのは、そばを、つゆを使わず、塩で食べるという初めての体験。正直、半信半疑でしたが、そばの甘味と香りが引き立つ美味さ。他にも、地元の農家が作る無農薬・有機栽培の野菜を使ったサラダなど、土の恵みが満載。「人間は高層ビルや宇宙をめざして空ばかり見たがるが、本来、野に近く土に生きていることを忘れてはいけない」、時代を見つめた言葉が心に沁みます。「人の縁が食の縁」とも語り、地域の人々とのつながりを大切にしてきました。北沢さんを取り巻く人たちは個性的で、その面白さや可笑しさも食をひきたてる要素です。「たかがそば、されどそば」、そこには多様な人間模様があり、食のもつ豊かさ・奥深さを教えられました。現代の食に対する考え方、暮らし方を見つめ直す一助になればと願っています。

番組情報

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◆職人館
【住 所】〒384-2205 長野県佐久市春日3250-3
【連絡先】TEL&FAX:0267-52-2010

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