#29 うまい肉にはドラマがある　～日本一！宮崎牛の復活力に学ぶ～

ディレクター：中本　奈緒（宮崎放送）

　3年前、家畜伝染病「口蹄疫」によって約30万頭の牛や豚などの家畜の殺処分を余儀なくされた宮崎県。我々マスコミも取材を制限されるなどこれまでにない深刻な事態に追い込まれました。あの時の悲しみは忘れられません。
しかし、あれからたった3年という期間で日本一に輝いた宮崎牛。これは畜産王国を支えた人たちの意地と情熱の現れだと強く感じました。県内では部門ごとの結果の速報が出るほど誰もが宮崎牛が日本一になることを祈っていました。そして、日本一２連覇という偉業。宮崎県は一気に盛り上がりました。そんな宮崎県が復活を遂げていることを全国の人たちに伝えたい。そういう想いで制作しました。
宮崎牛の畜産農家　岩崎勝也さんも450頭の牛を殺処分され、空っぽになった牛舎を私も見ました。その時の胸を締め付けられる思いは今でもはっきりと覚えています。終息宣言後すぐに牧場を再開させた岩崎さんでしたが、肉用牛を出荷するまでにかかる日数は約２年。ゼロから再スタートした岩崎さんは全国和牛能力共進会への出品する牛を育て上げることができず間に合いませんでした。しかし、それまで県の品評会で何度も最優秀賞を獲得している岩崎さんの宮崎牛は絶品だと誰もが声を揃えます。飼育法は独自のデータとこれまでの経験を活かし、こだわり抜いたもの。牛にとことんストレスを与えないという岩崎さんの宮崎牛は見た目だけでもその美味しさは伝わります。
また、焼肉やステーキ、すきやきなど高級なイメージがつきまとう宮崎牛をもっと気軽に
食べてもらいたいと宮崎の特産品を使った斬新なすきやきが出来上がりました。
映像では味を伝えることができませんが、きゅうりがすきやきに合うとは意外でした。ぜひ、みなさんに試していただきたいと思います。
この他にも、高級焼肉店の芸術的なカルビ、一流シェフによる至高の一品など普段ではなかなか食べることはできませんが、宮崎牛が高級でもあり、庶民的でもあるという2面性を表現したいと思い敢えて番組で紹介いたしました。
今回の番組制作で料理を美味しそうに撮ることの難しさを痛感いたしました。カメラマンや照明、音声と相談し、いつもよりも倍以上の時間をかけて撮影しました。
この番組を見て、視聴者がお腹をすかせるといいなと思います。

◆焼肉の幸加園
【ＨＰ】http://www.koukaen.jp/

◆シェラトングランデーオーシャンリゾート
【ＨＰ】http://www.seagaia.co.jp/japanese/hotel/sgor.html

◆JA宮崎経済連
【ＨＰ】http://www.kei.mz-ja.or.jp/index.html

◆宮崎県家畜改良事業団
【ＨＰ】http://www.mwia.or.jp/