#26 大阪・岸和田だんじり祭　～パワーの源は"オカンの味"～

高柴 裕子ディレクター

　別段、特筆すべきお祭りがない地域に生まれ育った私にとって、３年前、初めて見物に行った岸和田だんじり祭はカルチャーショックそのものでした。街全体が熱気に包まれ、見上げるほど大きなだんじりが猛スピードで駆け抜けていく…全身の産毛が逆立ちました。
岸和田へ取材へ行く、という話を頂いた時は、嬉しさと同時に、不安も湧き上がりました。
「私で勤まるだろうか…」と。しかしそれは、岸和田の方々が温かく迎えてくださったおかげで、日を追うごとに解消されました。岸和田へ行くたびに新しい発見と、出会いがある。練習風景を撮らせてくれた若者たち、石ゲタ網漁の撮影に協力してくれた漁協の方や漁師さん、シャコの上手な剥き方を教えてくれたおっちゃん、三日三晩、密着させてくださった樋口家の皆さん。詰所でおもてなししてくれた中町の人達。一緒に食卓を囲むうち、自分も、岸和田人になれたような気がしました。VTRには入りきらないご恩に大変感謝しています。
取材にあたり、今まで培ったノウハウが通用せず苦戦したこともありました。
例えば、岸和田のおばちゃん達は、私達が思うおばちゃん像とは少し違います。街頭インタビュー中に声をかけた岸和田のおばちゃん達は、とにかくシャンとして、ピシっとしたハンサム・ウーマン。その分、シャイですぐカメラから逃げてしまうんです。普段の取材で「大阪のおばちゃんは、みんなカメラが好き！」というセオリーが自分にはあったので、ギャップに驚きました。
また、９月１４日のだんじり祭初日、徹夜で取材にあたったんですが、それも初めての経験で、持っているデジカムがあんなに重く感じたことはありませんでした。カメラワークがフラフラになってしまい、まだまだ修行が足りないと反省しきりです…
振り返ればつくづく、ご縁に恵まれた取材でした。中町の皆さんや、樋口家との出会いも、いろんな方々のご協力あってのことでした。みんなのオカン、宇治朝子さんは、いい意味で男気溢れる、一本筋の通った、カッコイイ女性。キビキビとした言動に惚れ惚れしました。ご家族との何気ないやりとりの中に、だんじりのような勢いとパワーが感じられました。樋口家の方々もみんないい方で、心から祭りを愛していることが伝わってきました。
朝子さんが作ってくれた「じゃこごうこ」は、生まれて初めての味なのにどこか懐かしい、思い出すとまたすぐに食べたくなる味なんです。VTRで伝わりましたか？視聴者の皆さんにも是非味わってもらいたい一品です。自分で作ろうと思ったら、まず古漬けを仕込むところからのスタートなので、朝子さん達、岸和田オカンのすごさがわかってもらえると思います！
だんじりを曳いている人達だけでなく、縁の下で支える力持ちがいてこそ、祭りが成り立つ。岸和田だんじり祭は、地域が、家族が、一丸となって初めて成功する、「絆」の祭だということを感じてもらえたら嬉しいです。

◇岸和田市産業振興部観光課
【住所】大阪府岸和田市岸城町7-1
【電話】072-423-9486（市役所観光課ﾀﾞｲﾔﾙｲﾝ）

◇お好み焼き　泰ちゃん（やっちゃん）
【住所】大阪府岸和田市五軒屋町1-11
【電話】072-431-8889

◇水なす専門店　八右衛ヱ門
【住所】大阪府岸和田市小松里町2470
【電話】0120-327-254（ﾌﾘｰﾀﾞｲﾔﾙ）
【ＨＰ】http://www.hachiemon.co.jp/
※泉州水なす漬けは全国発送可　販売は４～９月頃
ＶＴＲ中に登場する岸和田の郷土料理「じゃこごうこ」も販売している