#23 帰ってきた川の宝 ~復活した"多摩川の鮎"に学ぶ~

2013年10月13日(日)(テレビ朝日 放送) テレビ朝日放送制作  協力 文部科学省

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全長およそ138キロメートル、東京と神奈川の間を流れ、東京湾へと注ぐ「多摩川」。
都会の真ん中を流れるこの川で今、奇跡的な変化が起きているんです。
夏から秋にかけて、川面をよく見ると…キラキラと輝きを放ちながら元気に跳ねる魚の姿が見られます。その魚は清流に棲む「鮎」です。近年、多摩川を遡上する鮎が増加し、大きな話題となっているんです。

かつての多摩川…。特に下流域は、家庭からの排水で汚染され、「死の川」と呼ばれるほどでした。昭和30年代後半から40年代の高度経済成長期、鮎はもちろんコイやフナなど、魚という魚が多摩川から姿を消してしまいました。

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多摩川の鮎、実は由緒ある魚なのです。江戸時代、多摩川で採れる鮎は「御菜鮎」として
幕府に献上が義務付けられたほどの名産品でした。
その鮎が、再び多摩川に戻ってきたのです。今、川の水は透き通り、水中には鮎の餌であるコケが豊富に育ち、他の沢山の種類の魚たちも気持ちよさそうに泳いでいます。

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毎年6月1日の解禁日から10月14日までが、多摩川下流域で鮎釣りが出来る期間。
多摩川は大勢の釣り人などが集う場所となりました。そんな釣り人たちは、ここまで川がきれいになって、美味しい鮎が釣れるようになったのは10年ほど前からだと言います。
一体どうしてこの奇跡は起きたのか、その理由とは!?
そして、多摩川の鮎を美味しく食べるレシピも、ご紹介します!

編集後記

ディレクター:市村 奈穂

「多摩川の鮎」。それは江戸時代、広く名が知られた名産品でした。産地指定で将軍家に上納されたという、今で言うならば“ブランド鮎”。
その由緒ある鮎は、高度経済成長期に絶滅の危機にさらされました。生活排水による、川の汚染です。当時、多摩川下流域は、あらゆる魚が暮らせない状態でした。
それから約30年が経った今、多摩川は多くの釣り人でにぎわっています。鮎を狙う鳥たちもやってきます。川は劇的にきれいになり、沢山の鮎が戻ってきたのです。
川に流れ込む下水処理水が、高度な技術で浄化されるようになったこと。さらに、ダムのようにせき止められた場所が多い多摩川に、鮎が遡上するための「魚道」が整備されたこと。流域に暮らす人々が、川の美化に努めたこと。様々な理由が重なって、鮎が暮らせる環境を取り戻すことが出来たのです。
取材時、多摩川で鮎を獲る数多くの人に出会いました。年配の方々は昔の多摩川を思い出し「こんな日が来るとは思わなかった」「奇跡だ」と喜びの声を聞かせてくれました。
私自身、取材を通じて「多摩川」のイメージが全く変わりました。透き通る水、鮎を始め豊かに育まれる沢山の命。大都会の真ん中を流れる川で元気に泳ぐ鮎の姿に、多くの人々の努力、そして自然が持つ力を感じてもらえたらと思います。

番組情報

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◆鮎漁師・山崎 充哲さんが作る「江戸前あゆ一夜干し」の販売店
「日本橋三越本店」
【電話】03-3241-3311(代表)
【住所】東京都中央区日本橋室町1-4-1
※山崎さんが一つ一つ手作りしている商品のため、量産が出来ません。
完売して店頭にない場合もあるので、まずはお問い合せを。

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★多摩川での鮎釣りについて
川の流域にある河川漁業協同組合で、「遊漁承認証」を購入すれば
毎年6月1日の解禁日から10月14日まで、鮎釣りをすることが可能。
(一日券と年券があります)

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