#20 海の宝石 海ぶどう~養殖技術開発への思いに学ぶ~

2013年9月22日(日)(テレビ朝日 放送) 琉球放送制作  協力 文部科学省

shokukikou20-1.jpg

海の宝石、グリーンキャビアなどとも呼ばれている海ぶどう。
口の中に広がる磯の風味と独特の歯ごたえがクセになってしまう。
主に、沖縄県で生産されており、三杯酢につけて頂くか、海ぶどう丼として食べるのが一般的。
実は海ぶどうが、世に広まったのは今から20年程まえの事。
沖縄県恩納村漁協の銘刈さんによって、陸上での養殖技術が確立されたからなんです。

shokukikou20-6.jpg

海ぶどうは、とてもデリケートな生物で、水温、栄養素、日光、水流、全てが適正でないと育たない。ヒントにしたのは網に定着させるモズク養殖でした。海ぶどうをサンドイッチのように網の中に挟み込んで水槽に沈めた所、均一に伸びてくる事が分かった。何度も失敗しながら、日光、肥料、水温など 海ぶどうが一番生育する環境を地道に調べ、5年をかけて一連の養殖技術を確立したんです。こうした思いの裏には、高齢になった漁業者や、天候の影響などで漁に出れず、生活が安定しない漁業者の助けになればという銘刈さんの思いがあった。

しかし、いざ販売となると全く売れない。
それもそのはず、当時まったく知られておらず、観光客からは見た目が気持ち悪いとまで言われてしまう。
そんな海ぶどうが現在の知名度にまで上り詰めたは、地域の企業や人々の協力があったからなんです。

shokukikou20-3.jpg

あるホテルでは、大きなホラ貝の中に海ぶどうを盛り付け、まずは試食してもらう事から始めた。
「おいしい!」反応は上々だった。 お土産品として成り立つよう、パッケージを作ってくれた企業や、地域の婦人たちにより、専用のドレッシングの開発などが行われた。
さらに、海ぶどうを看板商品にしようとレストランを立ち上げた男性も。
海ぶどう丼の元祖は実はこのお店だったんです。

こうして海ぶどうは徐々に知名度を広げ、いつしか沖縄県の特産品として肩を並べるまでに成長。今では、銘刈さんの技術をもとに、他の地域でも陸上養殖が行われるようになり、一般家庭でも楽しまれている。

shokukikou20-2.jpg

日持ちがするようにと、海洋深層水や塩漬けにされた海ぶどうもあるが、実は生の海ぶどうの方が
味も食感もダントツにウマい! 生の海ぶどうを豚肉と一緒にしゃぶしゃぶしても絶品!
一見合わなさそうだが、磯の風味と豚肉のハーモニー、海ぶどうから塩味が出るため、たれは無くても充分おいしいんです。

そして今、恩納村漁協では、海ぶどうの養殖技術をもとにして、若者達が新しい海藻の養殖にチャレンジしている。エンジェルとなづけた海藻が少しずつ生産され、早くもメニューとして提供するレストランも出てきた。
この若者たちにより、恩納村にまた新たな特産品、新たな食文化が生み出されることだろう。

編集後記

ディレクター:比嘉 賢史

 取材を通じて感じたのが、まず第一に主人公 銘刈さんの海ぶどうに対する情熱。
海ぶどうを生物として愛し、環境が悪くないか、体調は大丈夫かなど、まるで子供の面倒を見るかのように接する姿を見ていると、取材する我々スタッフも海ぶどうを愛らしく感じるようになっていった。

部分的に変色していたり、成長が遅い株があると、この子大丈夫かな?とついつい心配してしまう。

そして次に感じたのが、地域の人々の地元に対する愛情でした。
海ぶどうを「地元の特産品にしたい!」恩納村漁業協同組合の思いに対し、様々なアイデアを提案し、特産品として育てたエピソードには、感銘を受けました。

さらに、海ぶどうを食べるなら、やっぱり生が一番だという事も再認識。
実は沖縄県内では、天然の海ぶどうと養殖の海ぶどうの2種類が出回っているのですが、養殖物の方が口溶けが良く、さっぱりと頂けるんです。
海ぶどう丼のようにメイン食材としても良し、お肉と一緒に食べても良し。
珍味としてのイメージが強い海ぶどうですが、クセが無いため、どんな食材とも合うんです。色々な食べ方にチャレンジしがいのある海ぶどう。

ほのかな塩味と磯の香りがあるため、サラダやお刺身の付け合わせにした場合に、醤油などの調味料をつけなくて済むというのも魅力です。

沖縄に訪れた際には、是非、恩納村産の海ぶどうを食べてみて頂きたい。

番組情報

■恩納村漁業協同組合
【HP】http://www.onnagyokyou.com/index.php?page_id=15
【電話】098-964-2875

shokukikou_toiawase20-1.jpg

■元祖 海ぶどう
沖縄県恩納村字南恩納6091
【電話】050-5798-2141

shokukikou_toiawase20-2.jpg

■しまあかり
東京都日野市大坂上1-30-26
【電話】042-587-7654

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
お寄せいただいたコメントにはすべて目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
なお、企画提案、商品宣伝、イベント告知等に関する投稿は固くお断り申し上げます。

※ 記入欄に、お住まい(都道府県)もご記入いただければ幸いです(任意)