#13 心の栄養 満点ランチ ~日替わりシェフに学ぶ~

2013年7月21日(日)(テレビ朝日 放送) 秋田放送制作  協力 文部科学省

shokukikou13-1.jpg

曜日毎にシェフが交代で自慢の料理を振る舞う、レストラン・ワンディシェフの店。秋田県大館市の商店街にあるランチ専門の店だ。
シェフのほとんどは家庭の主婦。長年培った主婦の知恵がたっぷり詰まった料理は、季節感を大切にした地元の旬を取り入れて500円~700円。また、居心地良い店の雰囲気も評判となり、毎日、昼になると満席になる。この店は8年前、地元の主婦、畑沢貴美子さんが立ち上げた。

shokukikou13-2.jpg

畑沢さんは、子育てを終えた後、無力感や孤独感に苛まれる心の病と闘ってきた。その経験から、「人は誰かの役に立っていると感じることが生きがいにつながっていく」と考えるようになり、同じような悩みを抱えている人が、誰でも気軽に集まれる店作りを目指している。いつしか店には独り暮らしの高齢者たちが集まり、地域の憩いの場になっている。

shokukikou13-6.jpg

シェフのひとり仙台喜美晴さんは、老舗割烹で修業を積んだ元・板前。8年前、脳溢血で倒れ左半身の自由を失い、料理の道をあきらめかけたが、畑沢さんの誘いで店のシェフとなった。
調理道具を様々な工夫で使いこなし、料理を作れる喜びをかみしめている。いずれ自分の店を持ちたいという夢を抱きはじめたが、かつて出していた味を本当に出せているのか不安を抱えていた。そんなある日、仙台さんは、未来への一歩を踏み出すために、畑沢さんの協力を得て新しいメニュー作りを始める。

編集後記

ディレクター:利部 昭勇

shokukikou13-4.jpg

シェフ、仙台喜美晴さんと出会ったのは…、いや、正確に言うと再会したのは1年数か月前でした。大館市に面白い料理人がいるとの情報をキャッチして面会。私は初対面だと思っていましたが、仙台さんの開口一番は「以前、私の店に来て、かなり(呑んで)いい気分になっておられましたよね」。そういえば、10年ほど前。月に1、2度顔を出していた和食店の板前の面影が!待ち合わせ場所、大館駅前で人目をはばからず旧交を温め合いました。
あの時、仙台さんは、よく厨房から出てきてダジャレで客席を盛り上げていました。しかし、いつしか姿を見せなくなり…。その頃、闘病生活を送っていたのでした。
厨房に立つ仙台さんを取材する時がきました。まな板に釘を打ち付け、食材を刺して固定し切る。シュウマイを作る時は、小鉢に皮を敷き、くぼみに具材を入れて大まかな形を作り、あとは右手だけで形を整える。さまざまな工夫で料理に臨むものの、やはり、たどたどしい動きは否めません。料理をしていて苦労することが多々あるでしょう?すると、仙台さんは「料理が好きだから、苦に思ったことはないなあ」と微笑みました。
小学4年生の時。母親の入院し家の手伝いをする中で、料理の魅力に取りつかれたという仙台さん。修行先の師匠も「あいつは本当に料理が好きなんだ」と話していました。病気のために好きな料理と決別。その時の気持ちは、想像を絶する寂しいものだったと思います。
再就職もままならず、行くあてのない6年間。仙台さんはよく図書館に通い、人の生き方を説いた本を数多く読み、起こったことを悔やまず、いかに前向きに生きていくかを学びました。この前向きな姿勢が、今の厨房での姿に結びついています。

shokukikou13-5.jpg

仙台さんの夢は自分の店を持つこと。そこでは、同じハンディを負った人たちと働きたいと考えています。働いて、誰かの役に立つことが生きがいになる。ワンディシェフの店で自分が受け取ったものを、今度は誰かに返してあげたいと仙台さんは考えています。

番組情報

shokukikou_toiawase13-1.jpg

■ワンディシェフの店
【住所】秋田県大館市字大館68-2
【電話】080-6037-8324
【HP】ホームページ
【営業時間】午前11時30分~午後2時30分
毎週火曜日   歌声喫茶        午後1:00~午後3:30
毎月第1土曜日 スコップ三味線サークル 午後1:00~午後3:00

【定休日】日曜日・月曜日

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
お寄せいただいたコメントにはすべて目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
なお、企画提案、商品宣伝、イベント告知等に関する投稿は固くお断り申し上げます。

※ 記入欄に、お住まい(都道府県)もご記入いただければ幸いです(任意)