#414 壊れたら、直せる。〜輪島塗再起への道〜

2024年12月21日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 北陸放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

石川県輪島市の伝統工芸品「輪島塗」。国の重要無形文化財にも指定されています。輪島市街地に集中する従事者は約1000人。「木地」「下地」「上塗り」「加飾」など、それぞれの工程を専門の職人が担う“完全分業制”で作っています。そのためひとつの工程がストップすればほかの業者にも影響が。

2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」で能登は甚大な被害を受けました。「輪島塗」の従事者も8割以上がなんらかの被害を受けたとされ、業界の存続が危ぶまれています。約160年続く老舗漆器店「大徹八井(だいてつやつい)漆器工房」の5代目社長、八井貴啓(やついたかひろ)さんは、全壊した自社の工房を前に一時は廃業を覚悟するも「壊れたら直せるのが輪島塗、工房も直して仕事を再開すればいい」という父汎親(ひろちか)さんの言葉で再起を決意。全壊した工房はなかなか進まぬ公費解体を諦め自費での解体を行い、中小企業基盤整備機構などの支援で建てられた仮設工房で輪島塗の製作を再開します。

解体前の工房からは父汎親さんが約10年前に手がけた輪島塗の弦楽器が奇跡的に見つかり、地元の輪島高校の入学式で能登復興を願い演奏されました。しかし地震から半年以上避難所暮らしをしてきた父汎親さんが体調を崩し入院。さらに2024年9月、今度は豪雨が能登を襲いさらなる被害を受けます。さまざまな苦難を受けながらも八井さんの工房には能登への支援のため、全国の取引先や地元企業から注文が入り、一部商品の出荷もできるように。若手木地師の小谷文昭(こたにふみあき)さん、ベテラン沈金職人の高出 英(たかで えい)さんと互いに励まし合いながら、伝統の技を次世代につなごうと奮闘する八井さんの姿を追いました。

編集後記

ディレクター:山下竜洋(映像細工ヤマシタ制作所)

およそ600年の歴史を持つ「輪島塗」が窮地に立たされています。職人の高齢化や担い手不足に2024年1月1日の地震、9月の水害が拍車をかけ「分業制」という大きな特徴がさらに問題を複雑にしています。高齢の職人の中には今回の地震・水害で仕事を辞めるという人も多く、業界の一部では「あきらめムード」も出ているといいます。それでも前を向こうとする職人たちの原動力はいったいどこにあるのか。それぞれがなんとか踏ん張りながら互いを鼓舞し、伝統の技を絶やさぬよう奮闘する姿に胸が熱くなりました。ひょうひょうとした語り口でチャーミングな主人公の八井さんは、何かにつけ「親父がやれやれ言うから仕方なく・・・」と言いますが、実は誰よりも人情深く「これから自分が会社を背負っていくんだ」「輪島塗を絶やしてはならない」という責任感・使命感にあふれた人です。そのキャラクターを映像でうまく伝えられればと思います。

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