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県民でさえも、その存在をあまり知らない町…。どの地方都市にもそのような地域がきっとあると思います。今回、番組の舞台である新潟県田上町(たがみまち)も、まさにそんな町でした。しかし今、田上町で小さな革命が起こっています。その裏側には、4年前にオープンした道の駅の存在がありました。
道の駅たがみの初代駅長を務めているのは、馬場大輔さん(45)。生まれ育った田上町の知名度が低いことを非常に悔しく思っていた馬場さんは、駅長就任当初「何かアイコンになるような地域の宝はないか?」と考え、県民へのアンケートを行いました。その結果、一番多かった答えが「タケノコ」。田上町は昔からおいしいタケノコの産地として評判で、先人たちが守りぬいてきた大切な町の宝でもありました。竹をきっかけに町を知ってもらおうと考えた馬場さんは、1日300人もの人がタケノコを求めて列をなす「たけのこまつり」やタケノコ掘り体験ができるイベントなどを次々と企画。さらに、有志の団体「たけのこ団」を結成し、一緒に町を盛り上げる活動を行っています。メンバーは小さい子どもからお年寄りまで、なんと100人以上!
そんなみなさんが関わる、田上町の一大プロジェクトが、竹を使った光のアートイベント「たがみバンブーブー」。2022年からはじまり、今年で3年目。竹の切り出しから加工、会場への設置まですべて手作業で行います。毎年多くの人が訪れますが、このイベントには「アートで人を呼び込む」だけではない役割も。竹は成長が早く、整備しないとすぐに竹林は荒れてしまいます。竹林が住宅地のすぐ近くにある田上町では、多くの放置竹林が町の課題となっていました。竹林整備で切り出した竹をアートで活用することで、そうした課題を解決する役割も果たしています。
さらに、町が長年抱える課題が人口減少。町には高校がないため、若者の流出は避けられない問題だといいます。馬場さんは、地元の小学生や中学生と一緒に「たがみバンブーブー」を盛り上げるイベントを実施。若者に地域愛を根付かせる活動にも力を入れています。はたして竹あかりで町の未来を照らすことができるのか?みんなで起こす小さな革命!令和の、たけのこ族の物語です。
編集後記
ディレクター:内藤百花(新潟放送)
今回の主人公は、田上町(たがみまち)を盛り上げようと日々奮闘する、「道の駅たがみ」の駅長 馬場大輔さん(45)。周りの人を惹きつけるアイデアマンであり、老若男女問わず、地元の人から「駅長!」と呼ばれ親しまれる人物です。いつでも明るく前向きな馬場さんに、悩みはないのかと問うと「悩むことはない。逆境こそ楽しみたい」と話します。それは、これまでさまざまな取り組みにチャレンジし、失敗もしてきたからこそ。立ち止まっていても何も変わらない、自分たちがいま動かなければ町の現状は変わらない。取材を重ねるうちに、馬場さんの笑顔の裏に隠れた、町おこしにかける強い思いがひしひしと伝わってきました。
そして、馬場さんは小学校や中学校に積極的に出向き、未来を担う子どもたちとの関わりも大切にしています。イベント開催に向け、自主的に動く子どもたちのキラキラした表情を見て、馬場さんの思いが子どもたちにもしっかりと伝わっているように感じました。子どもたちが大人になったとき、この町はどうなっているのでしょうか。田上町の未来がとても楽しみです。
番組情報
道の駅 たがみ
【電話】0256-47-0661
【HP】https://michinoeki-tagami.jp/