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徳島県南部にある美波町。海岸にはウミガメが産卵のために上陸することから「ウミガメの町」として知られています。この町をPRする〝ちょっと変わったキャラクター〟が。その名も、かめたろう。本名、徳永聖二さん(60)。イベントの司会やツアーガイドに引っ張りだこの人気者。誕生したのは13年前。当初は、かわいいキャラクターを作る予定でしたが、予算不足のため人間丸出しのキャラクターに。しかし、微妙に愛くるしいその姿が人気を博し、町のおみやげや自動販売機にイラストとして描かれたり、徳島県内の小学校の教材に載るほどまでに。町の人は、かめたろうのことを「かわいい人」「この人がいないと笑顔がなくなる」と話します。中学生には「推しです!」と声をかけられるなど、もはやアイドル的存在。
首にかけているのは、心の状態が分かる「テンションメーター」。さらに「変身ベルト」にも、ある仕掛けが。いつも背負っている甲羅型リュック…メンテナンスは自分で行っています。もともとクロス職人で家業の内装業を継いでいましたが、家族の反対を押し切り47歳のとき、かめたろうに転身。特に反対したのは、9年前に亡くなった母の澄美子さん(享年76)でした。そんな母が最期に残したある言葉とは…。
かめたろうはふだん、町の観光案内所に勤務。外国人観光客がやってくると、不器用ながらも英語の翻訳機を駆使して懸命に案内をします。そんな姿を見ると、誰もが笑顔になり、ハッピーな気持ちになるといいます。
いつも全力、でもときどき空回り…。その見た目とは裏腹に、繊細で、よく悩み、ときには涙も…。観光業で頑張る町の人をとにかく応援したい!…日々奔走する男性の物語です
編集後記
ディレクター:森﨑 菜月
「かめたろう」というキャラクターは、当初かわいい着ぐるみのキャラクターを作るはずだったが、予算不足で人間丸出しの衣装になってしまった少し残念なキャラクター。13年前から使っているカメの顔が描かれたヘルメットは、郵便配達員をしていた知人が使っていた廃棄予定のヘルメットを譲り受け、リメイクしたそうです。
活動を始めた当初は町の人から「ふざけてやっている」と冷たい目で見られることも少なくなかったとか…。もちろん活躍の場も少なく町のイベントでもビラ配りしか任せてもらえない状態…。しかし、カメのごとく地道に活動を続けた結果、いつしか徳島県をPRする県外でのイベントにも呼ばれる存在になりました。
取材中も町を歩けば、「かめたろう!」とたくさんの人に声をかけられ、昔から町に住んでいる人だけでなく、県外から移住してきた人や観光で訪れた人など、老若男女問わず愛されている場面に何度も遭遇しました。町の人は「かめたろうが居ないと町から笑顔がなくなる」と言います。どうしてここまで人を惹きつけるのだろう?とはじめは疑問がわくばかりでした。しかし、半年にわたって密着する中で、いつも全力!ときどき空回りするけれど、いくつになっても子どものような無邪気さを持ち続ける姿がまわりの人たちを惹きつけ、笑顔にさせているのだと気づきました。
今では町になくてはならない存在となりましたが、5年後、65歳を迎えると引退することを決めていると言うかめたろう。まわりの人からは「そんなに先のことを決めなくても…」と慰留されていますが、本人は「ゴールを決めないと頑張れない性格なんですよ」と語る。
引退までの最後の目標として掲げているのは、所属する美波町観光協会の旅行業の登録。交通手段や宿泊施設をセットにしたツアーを企画し、美波町に来る観光客に、より長く滞在してもらい、よりディープな魅力に触れてもらいたいと願います。そんなツアーの実現に向けてかめたろうはすでに歩みをはじめています。最後の夢を知って、これからも追い続けたいと誓いました。
番組情報
一般社団法人 美波町観光協会
【電話】0884-77-1875
【ホームページ】美波町観光協会