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愛知県岡崎市にある「杉くんの駄菓子屋」。昔懐かしい駄菓子がたくさんあり、連日、子どもから大人まで多くの人が訪れています。ここで働く店員の石川智美(いしかわ ともみ)さん(41)は、目が見えません。店では「看板娘」、家では「シングルマザー」という二つの顔を持つ智美さん。美容師として働いていた20歳の時に「網膜色素変性症」を発症、25歳で右目を失明、27歳で左目の視力も失い全盲に。光を感じないため、音と手の感触が頼りです。さらに病気が進行していく中で子どもを授かり、シングルマザーとして生きていくことを決意。「目が見えなくなって1年くらいは家から出たくなかった、誰にも会いたくなかった」…。そんな智美さんにとって「光」となったのは…。
駄菓子店で働くこと6年。働き始めたころは、周りのスタッフに支えられることも多かった智美さんですが、持ち前の明るさで人気商品をうみだし、今では「店の看板娘」として活躍しています。店で働く様子を見せてもらうと、そこには「できない」を「できる」に変えるさまざまな工夫が…。店長も難病を患い、車いすが欠かせません。お店をオープンしたきっかけは「障がいがあるなしに関わらず、いろんな人が集まれる場所を作りたい」…。その目標どおり、障がい者と健常者の壁がない駄菓子店は多くの人でにぎわっています。人と人のつながり…その中で障がいと向き合い周りと支え合い、前向きに生きる全盲のシングルマザーの物語です。
編集後記
ディレクター:小坂恵理子(メ~テレ)
私にとっての「杉くんの駄菓子屋」は、“取材に行くたびに、いろいろな出会いや発見がある場所”。その典型が店長の杉浦さんや石川智美さんとの出会いです。
お二人に会って、私の「障がい」に対するイメージが変わりました。それは障がいがあるお二人ともが「できない」ことをまず周りに伝えて、その後「できる」に変えていたからです。「障がいがあっても、みんなと同じことがしたい」との思いから、どんなことにもチャレンジする姿から受けた印象の強さは、「すごい」という単純な言葉では言い表せないくらいです。
誰にでも「得意」と「苦手」があります。障がいは、「苦手」でしかなく、「得意」なことの方がたくさんある人もいます。智美さんはまさに“得意が多い人”。そこには、もちろんとても多くの努力と苦労があったと思います。でも、その苦労を感じさせず、いつも笑顔で周りを明るくしてくれる、智美さんは素敵な人です。
取材を通して知ったことは、障がいがある人にとって、私たちのちょっとした気づかいや思いやりが、障がい者の「できること」を増やしていくということ。大きなことじゃなくていいんです。例えば、目が見えない人が物を置こうとした時に、置こうとしている場所に何か別の物があったら、どけるとか、歩く時に肩を貸すとか、どんな工夫をしたらいいのか一緒に考えるとか、ほんの少しの優しさで変わります。
この番組を通して、「障がい」について知ってもらい、足を一歩踏み入れると懐かしさと温かさがある「杉くんの駄菓子屋」にぜひ一度、足を運んでいただけるとうれしいです。
番組情報
杉くんの駄菓子屋
【住所】愛知県岡崎市欠町中通2-1
【電話】0564-83-7018
【公式Instagram】@sugidaga
【公式X】@sugidaga2010515