#379 藤前干潟のガタレンジャー ~自然の魅力、伝えます~

2024年04月20日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) メ~テレ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

愛知県名古屋市の名古屋港の一画に「藤前干潟(ふじまえひがた)」があります。周辺の港湾開発が進む中、唯一残された貴重な自然。この干潟は主に大潮の期間の最も潮が引く時にその姿を現します。この干潟の自然観察会を開いている「藤前干潟を守る会」のメンバー、梅村幸稔(うめむらゆきとし)さん(50)。梅村さんが初めて藤前を訪れたのは小学生の時。渡り鳥のシギやチドリの群れが飛来する光景に圧倒され、通うように。干潟の興味はやがて鳥たちのエサとなる、干潟にいるカニや魚、貝にアナジャコといった「底生生物(ていせいせいぶつ)」に。

梅村さんはいま干潟の案内人「ガタレンジャー」の一員として、観察会に参加する子どもや家族に干潟の魅力を伝えています。しかも観察会の時には決まってカニの姿をあしらった帽子をかぶり「藤前干潟のカニくんです」と名乗って活動をします。それはかつての自分のように干潟に興味を持ち、藤前に通うことで四季それぞれの自然の魅力を、子どもたちに感じてほしいという願いから。実はこの「カニくん」の帽子は妻・梅村宏美さんの手作り。絵心がある宏美さんは、過去には藤前干潟の案内板や会報のイラストも手がけるなど、幸稔さんと共に活動を続けています。

藤前干潟は、北半球と南半球とを行き来する「渡り鳥」たちにとっての中継地という役割を持っていることなどから、2002年、国際的に保全が求められる湿地などを対象にした「ラムサール条約」に登録されました。以前は名古屋市のごみ処分場として埋め立てられる計画も進められましたが、干潟を残す市民運動が始まり、ごみの分別収集が社会に広まるなど、藤前干潟は大きな社会のうねりに巻き込まれながらも奇跡的に残されることに。だからこそ、いつまでもこの自然を残していきたい。そのために梅村さんはいま、ガタレンジャー養成講座で講師を務め後継者の育成を続けています。

編集後記

ディレクター:川村真司(メ~テレ)

「藤前干潟の世界」の案内人ガタレンジャーこと梅村幸稔さん。かれこれ3年前、渡り鳥や干潟の底生生物の撮影にアドバイスをいただきながら、その合間に生き物の話をいろいろ教えてもらっていました。そのとき、梅村さんをはじめとする「藤前干潟を守る会」の人びとを描くことで干潟の魅力もさらに引き立つと考え、取材を継続してきました。

現在守る会は20年以上前の干潟存続の危機の時代を知っている世代に、そのころのことを体験していない新しい考えをもった若い世代が加わろうとしていました。彼らを取材して、将来に向けて藤前干潟の魅力をどうのように伝えていくかを切磋琢磨していく瞬間を垣間見ることができた、という思いです。振り返れば、藤前干潟の保全には過去にも観察を続けた人々による科学的な知見や、市民の環境意識の変化など、様々な意見を取り入れてきました。いまでは〝多様性〟という言葉がそれに合致するのかもしれません。都会に残された自然に叡智が集まる。そんな一面も藤前干潟の魅力だと思います。

番組情報

藤前干潟活動センター
【電話】052-309-7260

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