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高知県高岡郡越知町。清流・仁淀川が流れる自然豊かな町の商店街に、古い建物があります。かつて薬局だった建物の今の姿は、和紙雑貨店。和紙でできた作品や小物を販売しています。店を営むのは竹山美紀さん(35)。4年前、結婚を機に越知町へ移住し、夫の齋藤与志彰(よしあき)さん(38)と一緒にこの店を開きました。店をしながら和紙作家として活動する彼女の作品は、どれも和紙のイメージを覆すものばかり。アクセサリーや、和紙のはがきに風景や動物の絵を描いた作品、さらには抽象的なアート作品まで、多様な作品をすべて和紙で制作しています。ふだん和紙を触る機会がない人も身近に感じられる作品です。美紀さんは、実際に触れ、すいた職人の話を聞き、作品となる和紙を選びます。和紙1枚1枚から、すいた職人の思いを感じるという美紀さん。彼女は和紙作家として、作品を通して和紙の魅力をより引き出していきます。
そんな美紀さんは2023年の夏、新たな挑戦をしました。7月開催の個展でメインにする作品。1メートル四方の大きな和紙のキャンバスに、パステルアートを描きます。カラフルで大きなアート作品を作るのは、和紙作家になって初めて。新たな試みです。越知町に暮らして4年。この町での暮らしが、美紀さんの作品に変化を与えています。しかしその中でも、ずっと変わらないのは和紙を使い続けるということ。美紀さんは、その理由をこう話します。
「和紙に出会って今の私があって、その恩返しじゃないけれど、感謝の気持ちで使い続けたい」
彼女はなぜ和紙に出会うことになったのか。和紙は彼女に何を与えたのか。和紙がつないだ町で生きる和紙作家と、彼女を救った和紙の物語です。
編集後記
ディレクター:廣瀬 心(高知放送)
今、皆さんの周りに、和紙はありますか?和紙についてどんな印象を持っていますか?
多くの人は、和紙について考えたことはあまりないかもしれません。古い印象を持っているかもしれません。しかし、和紙はもっと身近に存在できるものなんです。それを実現しているのが、主人公の竹山美紀さん。彼女は洋室にも飾りたくなる絵や、洋服に合わせたいアクセサリーなど、私たちの生活に溶け込む作品を和紙で作ります。柔らかく、穏やかで、まさに美紀さんの人柄がそのまま表わされているような作品たち。しかし、その奥には和紙に対する情熱や、和紙を生み出す職人、自然への尊敬や感謝の思いも込められていて、強さも持ち合わせていることに気づかされました。美紀さんが自分の中にある思いを表そうと、ひと言ひと言丁寧に紡いでくれた言葉や、表情にご注目ください。
取材をしたのは、去年6月から12月。その半年の中でも、どんどん作品が色鮮やかになったり、様々なことに挑戦しようという彼女の好奇心旺盛な心を感じたり、常に次の自分へと進もうとしている姿を見せてもらいました。笑顔の絶えない、朗らかで穏やかな彼女の雰囲気はきっと、テレビの前の皆さんにも伝わると思います。私と同じように“竹山美紀”さんという人物の考え方、生き方に魅了される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最後に、この番組・美紀さんの生き方を通して、和紙というものの魅力、それを作り出す職人や作家の思いが、少しでも多くの人の心に留まればと思います。
番組情報
WASHI ORIORI
【住所】高知県高岡郡越知町越知甲2060
【営業日】土曜・日曜(産休により3月頃まで休業):営業時間:午後1時~午後5時
【Instagram】washi_oriori
【オンラインストア】https://washi-oriori.stores.jp/
竹山美紀さん作家活動について
【Instagram】miki.takeyama
【オンラインストア】https://artbymikitakeyama.stores.jp/