#359 亡き母への思い ~人気塾講師と明石焼き~

2023年10月07日(土)05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 琉球放送 制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

2022年7月、兵庫県明石市のソウルフード「明石焼き」の専門店が沖縄県にオープンしました。オーナーの星野さんは東京都出身の42才、今回が初めての飲食業です。それまで20年間、東京や兵庫で塾講師をしていました。

幼いころから学校の先生になりたいと思っていた星野さん。大学生のとき、アルバイトで始めた塾講師の面白さに魅了されます。勉強の習慣がなく、苦手意識を抱いている生徒が勉強の楽しさに気づく、そんな場面に立ち会える塾講師の仕事を天職だと感じ、人気講師へと成長していきます。

順風満帆な人生に見える星野さんですが、生い立ちは複雑。高校生のころ父親の家庭内暴力がきっかけで、母親と妹弟の家族4人で逃げるように家を出ます。それまで専業主婦だった母の久美江さんは子ども3人を育てるために、お好み焼きの店「一発逆転」をオープン。当初は厳しい経営状況でしたが、持ち前の明るさを発揮し、次第にお店は繁盛するように。そんな久美江さんには、沖縄の海が見える場所でカフェを開きたいという夢がありました。しかし、沖縄移住の計画を立て始めたころ病気が発覚、58才で亡くなります。

母の死から数年後、星野さんは沖縄に移住することを決意。天職だった塾講師を続けたいとも考えましたが、塾の仕事は深夜まで続くことが多く、心機一転、新しい仕事を考えます。そのとき心に浮かんだのが、小学生のころ母と一緒に食べた、思い出の味「明石焼き」でした。尊敬する母親が眠る沖縄の地で歩み始めた、星野さんの第二の人生に迫ります。

編集後記

ディレクター:宮城 恵介(琉球放送)

星野さんは、こちらが投げかける色々な質問に飄々とこたえます。たとえば「明石焼きを上手に焼くポイントは?」「見た目」、あるいは「お店の場所を決めるポイントは?」「うーん、直感です」

だいたい、こんな具合の星野さんですが、「母との思い出」と「塾講師時代の話」は熱くなります。両親の離婚がきっかけで大学進学が厳しくなったが、母親や周囲のサポートで進学できたこと、そのおかげで塾講師という仕事に巡り会えたことを、エピソードも交えて教えてくれます。人が成長する瞬間を見るのが好きだ、と星野さんは言います。自身も周囲に支えられて教育を受けることができたと感じていて、いつかは自分が教育の機会を与えられる大人になりたいと思っていたそうです。

星野さんの塾講師時代の教え子で、今は一緒に「ふわたこ」を運営している岩佐さんは、星野さんのことを「信頼できる大人だ」といいます。そう思えばこそ、不安を抱えながらも故郷の兵庫県を離れて、沖縄についてきたと。一方の星野さんは、岩佐さんにはそろそろ地元に帰ってもらうつもりです。理由は「ふわたこ」で吸収できることを十分に学んでもらったから。新しいことがスタートし、実際にその現場で働くことは、岩佐さんにとって大きな経験になると星野さんは考えていました。岩佐さんの話をしているときの星野さんは、教育について語るときのように、話したいことが溢れてくるようでした。母が眠る沖縄で明石焼きをつくり、若い人に仕事を通して成長してもらう。星野さんは「明石焼き」と「教育」という、自分が進みたい道をまっすぐに歩いているのだと感じました。

番組情報

ふわたこ 牧志本店【電話】080-2109-8449
HPhttps://fuwatako.com/

宗教法人安国寺 摩文仁国定公園内霊園ちゅらゆい(清ら結)
【電話】0120-190-193
HPhttps://churayui.info/

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