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鹿児島県鹿児島市名山(めいざん)町に住む門間(かどま)ゆきのさん(30)は「名山新聞」の編集長。2020年9月創刊、名山町の人や歴史、飲食店などをテーマに毎月1回200部を発行しています。記者は地元の小学生が「子ども記者」として毎回10人ほどが参加、手書きの記事やイラストが並ぶ紙面は、にぎやかでカラフル。「何と書いてあるか分かりにくいので、大人は真剣に読む。だからいい」という読者も。
活動のきっかけは、2020年夏。コロナ禍で夏休みを楽しめなかった地元の小学生から門間さんが相談を受け、町内会とも連携し、同年9月21日に創刊。1年を通してテーマを決め、毎週第一土曜日に公民館に集まる。取材先では「なぜ、名山町で店をやろうと思ったのか?」「なぜ、美容室を開こうと思ったのか?」といった基本的な質問から「好きなキャラクターは?」「辛い食べものと甘いもの、どっちが好き?」など、子ども記者が「聞きたい」と思った質問に、大人は少々困りながらも真剣に答えます。
新聞活動の参加費は無料。支援スタッフはボランティア。みんなで楽しく取材し町を盛り上げようと活動中。今年6月までに33号を発行し取材先は170件を超え、町の中でも認知度は上がってきました。昨年9月には創刊2周年をむかえ、名山新聞をテーマに子どもたちと歌作りに挑戦。歌詞は子ども記者。取材先やイベントで歌うことが多いといいます。町の魅力を発信しながら「自分たちが住む町を楽しんでほしい」と語る門間さん。その思いや記者たちの活躍を追いかけました。
編集後記
ディレクター:七枝大典(南日本放送)
今回の番組、舞台は昭和レトロ感満載の鹿児島市名山町(めいざんちょう)。200世帯およそ300人が暮らしています。飲食店が目立つ町で、特に夜は賑やか。「赤ちょうちん」に吸い寄せられる人も少なくありません。ここで月に1回、発行されているのが「名山新聞」。記者は、小学6年生までの「子ども記者」、編集長は元新聞記者の門間ゆきのさん(30)。2020年夏、新型コロナによる「外出自粛」の影響で夏休みを楽しめなかった子どもたちから、名山町が好きすぎて趣味の1つとして「名山 町歩きマップ」を作っていたお姉さん=門間さんに「新聞作りをしてみたい」というリクエストをしたことから始まりました。
取材先は新規オープンのお店や、町の歴史を語る人であったり、中には名山町にある消火栓や駐車場の数を数えたりと様々です。記者は手書きで記事を書いたり、イラストで表現したりとユニークでカラフルな記事が紙面に。新聞を読んだ人からは「子どもの字は、何度も読まないとわからないから逆に理解できる」という、「当初は想定していなかった感想をもらって、じゃあ手書きで行こう」と門間さんを中心に活動を始めて3年目に突入。参加する記者は月によって人数こそ違いますが、クオリティは落ちません。(D感想)
月に一回の取材活動に密着して、およそ1年半。特に印象に残っているのは昨年6月の「美容室特集」号。当時、名山町には3件の美容室があり、記者たちはいつものように取材。その1つで55年の歴史に幕を下ろす「せつこ美容室」での出来事でした。取材も一通り終わり、「もう、そろそろ終わりかな」と思った時、1人の女の子が「おすすめの前髪は何ですか?」と質問。「おすすめの前髪?!こんな質問、自分にはできない!」と思った瞬間、せつこさんが子供の目を見ながら丁寧に「年齢に合わせて切ります」と返答。ダイレクトな回答ではないですが、子どもの真剣な質問に、大人が真剣さと優しさをもって答える姿は心に触れるものがありました。
番組を通して、子どもたちの様子や名山町が好きすぎる門間さんや周りの大人たちの様子を、「ほんわか」観ていただくと嬉しいです。
番組情報
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