#340 横山家は1馬力 ようこそ!信州里山暮らし

2023年5月13日(土)05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 信越放送 制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

長野県の南部、伊那市高遠町に住む横山晴樹さん(44)は2009年に茨城県から移住してきました。家族は妻の紀子さんと2人の娘。馬が農具を引いて田畑を耕す馬耕や山林から木を運び出す馬搬といった、昔の農村では当たり前だった馬とともに暮らす生活を送っています。

横山さんの相棒は19歳の牡馬、ビンゴ。ビンゴの後方に道具を付け、田んぼを縦横無尽に歩くことで田んぼのしろかきをしています。ときには、道具と一緒に浮き輪を付け、そこに乗った子どもたちも一緒に引っ張る…まるでジェットコースターのようなアトラクション。横山さんの農業では機械をなるべく使わず、ビンゴの力、まさに1馬力の作業です。

100年の古民家を自分たちで改築し、テレビ無し、エアコン無し、ごはんはかまどで炊き、できるだけ自給自足を心がける昔ながらの里山暮らし。そして、都会の生活に疲れた子ども、不登校や生きづらさを抱える子どもを山村留学生として受け入れており、彼らも家族の一員として過ごします。

2022年8月。横浜で暮らす中学1年生のルカさんが1週間の短期留学でやってきました。自律神経の病気によって、昼夜逆転の生活となり、不登校になってしまったといいます。都会でしか暮らしたことがないルカさんは、横山家の生活に、なかなかなじめません。

ところが数日後、はだしで畑仕事をするルカさんの姿がありました。自ら進んでビンゴの世話をする変わりぶり。1週間の短期留学のつもりでしたが、延長して1ヵ月も滞在。

そして3月。横山家に新しい家族がやってきます。里山で暮らす豊かさとは…馬が持つ力とは…
横山家の1年を追いました。

 

編集後記

ディレクター:依田倫博(信越放送)

横山家の人々に最初に出会ったのは2019年、別番組のリサーチがきっかけでした。

はだしで外を駆け回っている娘たち、家電製品のほとんどない家の中を見て驚きました。話し込んですっかり遅くなってしまうと、帰り際に紀子さんは「素手でいい?」と言って“塩むすび”を握ってくれました。私が子どもの頃は普通だった光景がこの家にはあったのです。「横山家の生活をもっと深く取材させてもらいたい」と、おいしい塩むすびを食べながら帰ったのをおぼえています。

横山家の農作業は、田植えや稲刈りは手作業、ビンゴは1馬力なので耕運機に比べて時間がかかります。その分、作業しながら世間話をしたり考え事をしたりと、実は時間を有効に使えていることに気づきました。効率に傾き、目まぐるしく仕事をして、あっという間に時間が過ぎる私は…。取材しながらいつも葛藤していました。

そんな現代社会とは一線を画す横山家は、不登校になった都会の子どもたちにとって、ホッとできる場所のようです。特にビンゴといるときの表情は穏やかになり、話しかけています。どうやらビンゴの“馬力”とは、仕事率を表す単位ではなく、子どもたちの心に寄り添う不思議な力のことだと思うようになりました。

横山家のキャラクターも個性的です。晴樹さんは童心を持ち続けていて、子どもには同じ目線で接しています。紀子さんは、山村留学生にとっても母親であり、子どもに寄り添っています。ただし、晴樹さんに対する手綱は少し締め気味です。娘のいろ葉さんと空野(そらの)ちゃんは遊びの天才。テレビやゲームが無くても日々を存分に満喫しています。成長していくにつれ、横山家の生活をどう捉えていくのか、見守っていきたいと思います。

番組情報

横山晴樹
【Facebook】https://www.facebook.com/haruki.yokoyama

うまや七福
【HP】https://umaya7fuku.jimdosite.com/

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