#336 地の涯“大いなる教室” ~羅臼高校の感動授業~

2023年02月18日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 北海道放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

「宇宙にいるみたい」…生徒が興奮しながら話します。

北海道立の羅臼高校には、オンリーワンの学びがあります。それが「ダイビング」。世界自然遺産「知床」の海を体感する選択授業です。今年度は3年生の4人が受講し、潜水士の国家資格を取得しました。

羅臼の海は、地元のダイバーから“季節の海”と呼ばれています。夏と冬の水温差が20度にもなるため、生き物や海の中の景色が季節によって様変わりします。

 5月。番組は、珍しい生き物を撮影しました。体長1.5mを越える巨大なイカ(ササキテカギイカ)…世界でも珍しい「子育てをするイカ」です。腕に数万個の卵を抱き、ふ化まで見届けると、母イカは命を終えます。
8月に入ると、ダイビング授業は、いよいよ海での実習。レギュレーターが口から外れてしまったときの対応の仕方など、潜水の技術を学びます。「初めて海に潜るので、楽しかった。魚がいっぱいいて、海に興味がわきました」…生徒たちは、地元の海の豊かさを改めて知りました。

魅力あふれる羅臼高校…一方で統廃合の危機という問題も。過疎や少子化の影響を受けて、入学者の数が減少。全校生徒67人の羅臼高校は、町で唯一の高校。もし隣町の高校に統合されてしまうと、町に活気が無くなってしまう…町民も行く末を案じています。

過疎の背景には、町の主要産業の衰退が関係しています。名産「羅臼昆布」をとる漁師の数は現在約160軒、ピーク時の半数に。資源量の減少や重労働が敬遠される理由です。
「地元に残らない人が多いですからね。こういう仕事しかないから」…コンブ漁師は、嘆いています。

そんな中、ダイビング授業を受講している一人の生徒が、あることを報告してくれました。
卒業後、漁師の道に進むことを決めたというのです。「やっぱり父親の背中にあこがれて…」
春から漁師である父と一緒の船に乗ります。

季節は冬へ。巣立ちの時期が近づいてきました。
羅臼町にとどまる生徒、そして離れる生徒…。それぞれの歩む道…。
“教室”は、世界自然遺産「知床」の大いなる海。羅臼高校の1年を追いました。

 

編集後記

ディレクター:竹馬 悠(HBCフレックス)

都道府県の魅力度ランキング、不動の1位、北海道。中でも人気の観光地「知床」の羅臼町。どんな町なんだろう…。わたしはこれまで訪れたことがなかった。

近くのセブンイレブンまで50キロ(隣町)。コンビニのレジ袋を持ち歩いていると「セブン行ったんだ!」と、羨ましがられる。高校生が遊ぶ場所と言えば、ドラッグストアの駐車場。立ち話に花を咲かせる。そんな町だった。

もちろん魅力はたっぷりある。大自然だ。だって知床は世界自然遺産。番組では、その世界自然遺産の海をダイビングする羅臼高校の授業を取材している。なんて贅沢(ぜいたく)な学校なんだ。

ところが、若者は「コンビニが近くにない」。それが町を離れる理由になる。
でも、これって日本全国の地方都市“あるある”ですよね。羅臼はちょっとスケール感が大きいけれど。

ぜひ、みなさんも自分たちの町に置き換えてこの番組を見て欲しい。

番組情報

北海道立羅臼高等学校
【ホームページ】http://www.rausu.hokkaido-c.ed.jp/
【電話】0153-87-2481

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