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標高300メートル「大観(だいかん)峯(ぼう)」…その平地と頂上をつなぐ2キロの一本道があります。
今回の主人公、佐藤将貴(まさき)さんがたったひとり、手作業で切り拓いた道です。
2014年、田舎暮らしに憧れて富山県立山町に移住した佐藤さん。家族とともに自然に囲まれた里山暮らしを満喫していました。しかしその一方で、里山が抱える現実にも直面します。長男が通うはずだった小学校が統廃合され、入学前に休校に。佐藤さん家族が移住してから、地域の小学校は4校・中学校は1校、なくなりました。人口減少や少子高齢化によって、地域のチカラは年を追うごとに衰退していきます。
佐藤さんの妻は、陶芸家として活動しながらクラフトイベントを開催、地域のにぎわいに貢献していました。移住後、会社員として働いていた佐藤さんは、妻の活動を間近に見る中で「人生は一度きり、自分も地域に貢献できることに人生の時間を使いたい」と思い始めます。地ビール作り、狩猟免許を取得してジビエに挑戦…どれもうまくいきません。知識と経験を増やそうと街づくりの会社へと転職しますが、コロナ禍となり休業へ。しかし佐藤さんは、壁が立ちはだかる中でも常に前向きでした。空いた時間を使って始めたのが「里山の道づくり」。山の中には、今は使われていない林道や旧登山道があり、その道を復活させることで、道の先にある集落跡や洞窟などを巡る里山ツアーができるのでは…。草木が生い茂りジャングルのようになっていたその道を、たったひとり、毎朝手作業で整備を始めました。半年間かけて切り拓いたその道が、大観峯の一本道。これをきっかけに佐藤さんの思いに共感する仲間も増えていきます。一本の道づくりから始まった里山再生を目指す、熱き男性の物語です。
編集後記
ディレクター:中村有里(北日本放送)
豊かな里山の自然を満喫してきたからこそ
その資源をいかして、地域に人が集まるような仕組みをつくりたい
そこで始めたのが「里山の道づくり」でした。
どんな風に道を切り拓いたのか佐藤さんを取材してみると…
手には小さなノコギリ
たったひとり山の中に入って、草木を“手作業”で切りながら道をつくっていたのです。
しかも半年間かけて2キロの道を。
さぞかし苦労も多かっただろう…
「心が折れることはありませんでしたか?」そう聞いた私に
「折れることはなかったですね。木を切った分だけ道ができるのがわかるので!切りすぎて手は限界でしたけどね(笑い)」
笑い飛ばしながら佐藤さんは答えていました。
取材中、一番印象に残っているのはそんな佐藤さんの笑顔です。
「ネガティブなことを喋るのは苦手なんですよ(笑い)」
どんな苦労も笑顔で語り、返ってくるのは常にポジティブな言葉でした。
最初はひとりで始めた里山の活動ですが、今佐藤さんの周りにたくさんの仲間がいます。
その仲間たちは、佐藤さんの里山の活動に共感したのは勿論のこと
それ以上に、佐藤さん自身に引きつけられているように見えました。
壁にぶつかっても、自分の信じた道を笑顔で前向きに進む
そしていい意味で周りをどんどん巻き込んでいく
そんな佐藤さん自身のポジティブでパワフルな「チカラ」が少しでも伝わると幸いです。
番組情報
里山マウンテンバイクツーリズム
【HP】https://satoyama-tourism.com/
里山マウンテンバイクツーリズム実行委員会
【HP】https://community.camp-fire.jp/projects/view/378716