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山口県北部、日本海に面した阿武町(あぶちょう)。人口およそ3000人。
過疎・高齢化の進む町です。
2011年、まちを盛り上げようと、有志の若者たちが、シンクロナイズドスイミングチーム「ABUウォーターボーイズ」を立ち上げました。『俺たち ウォーターボーイズ!!』お決まりの掛け声で始まる公演(入場無料)は大人気。
チームを結成したのはリーダーの石田雄一さん。町営のプールを使ってまちおこしをしたいと一念発起、周囲に声をかけメンバーを集めました。役場職員に海上保安官、会社員…シンクロ未経験者ばかり、社会人の集まりです。
そんな大人たちのチームに、2018年春、新たに高校生が加わりました。高校1年生の「たくちゃん」…史上最年少メンバーです。人前で自信を持って自分を表現できるようになってほしいと、母親が加入をすすめました。ダンスが苦手で、くちべたな、たくちゃん。まわりの大人たちは、それぞれのやり方で支え、たくちゃんも努力を重ね、その期待にこたえ、自分と向き合います。そしていよいよ大勢の人の前に立つ、公演の日が…。
高校3年間、チームでの活動を続けるうちに、将来の目標も芽生えました。それは海の安全を守る海上保安官になること。チームの先輩たちの背中を追います。海上保安学校への進学を目指し受験勉強に励みますが、入学試験の厚い壁に何度も跳ね返されます。そんなたくちゃんに寄り添ったのは、やはり、チームの大人たち…。
シンクロに打ち込む高校生と、真摯に支える大人たちの記録です。
編集後記
ディレクター:田村康夫(山口放送)
『まちを盛り上げる、元気・活発な若者のエンタメ集団』。
ABUウォーターボーイズに出会った2017年当時、私は彼らのことを、そんなイメージ“だけ”でしかとらえていませんでした。5年の取材を経た今、色濃く感じるのは、『人を育てるチーム・人をつくるチーム』だということです。
モットーは「一生懸命」。一生懸命なくして人の心は動かない、という気構え。お客さんに送る公演の案内ハガキは数百枚にのぼりますが、そのすべてに手書きでメッセージを添える丁寧さ。公演の日は、お客さんに、関係者に、さらには私たち取材陣にと、各所で整列しては感謝の礼をしてまわる、礼儀正しさ。そんなひとつひとつの積み重ねで、チームの空気がつくられているように感じました。
11年間率いてきたリーダー・石田雄一さんの言葉が印象的です。
「シンクロをすること自体が目的ではない。ウォーターボーイズの活動を通してそれぞれが成長したうえで職場とか地域に戻っていったときに その経験・自信を生かして 次の行動に移すこと・広げていくことが、チームやってることの意義」
今回の主人公、15歳で加入したたくちゃんも、シンクロという非日常体験に加え、そんなチームの姿勢に触れ続けることで、学校や家庭とは一味違う刺激を受け、成長の糧にしていったのではないでしょうか。
番組情報
ABUウォーターボーイズ
【HP】 https://abuwaterboys.localinfo.jp/