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ご注意ください。
「木の声を聴きなさい」被爆樹木を守る樹木医、堀口力さん(77)が大切にしている言葉です。見どころは堀口さんがこの仕事を通じて得た人生訓。「お金をかけ過ぎてはいけない」「上から目線では見えてこないものがある」「言葉に出せばしんどくなる」…。
様々な事に通じる普遍的な言葉を語ってくれました。1945年、原爆が投下され14万人が犠牲になったとされる広島。焼け野原となり「75年、草木も生えない」といわれた土地ですが命を吹き返し、今も生き続けているのが被爆樹木です。
広島市からの委託で160すべての被爆樹木を手入れしている堀口さん。樹木医の仕事は、腐った枝の剪定や肥料を与え樹勢を回復させること。しかし被爆樹木の4割ほどは枯れてしまう可能性が…。主な原因は原爆の影響や都市化に伴う環境の変化が考えられています。番組では根の腐りが進行しているソメイヨシノの治療に密着。
さらに、木から生きる希望をもらったという被爆者も取材。爆心地から1キロほどの小学校で被爆した87歳になる北川建次さん。被爆者の平均年齢が84歳となるなか、被爆樹木について語ることができるのは北川さんだけに…。被爆体験とともに、緑のチカラについても語ってくれました。
一方で枯れてしまい役目を終えた木は楽器となり、平和への願いを奏でます。四季の映像美と子どもたちの演奏するパンフルートの音色がウクライナ侵攻の出口に少しでも光を灯してほしいという思いを込め制作しました。
暗い番組ではありません。肩の力を抜いて見ていただければ、「木の声が聴こえてくる」かもしれません!
編集後記
ディレクター:山本和宏(RCCフロンティア)
私には被爆した親戚もいますが、やはり遠く感じる原爆の話。地元出身でも、何か自分には、説得力が足りないと思い戦争関連の番組はできないと考えていました。しかし、Uターン転職で広島に帰ってきて5年目…。毎年作られる戦争関連の番組を見るたびに、原爆ドームの前を通るたびに、何か自分なりのアプローチで番組を作ってみたいと思うようになりました。
そして、番組を企画しようと2年ぶりに広島平和記念資料館へ…。(入場料200円!世界一コスパが良い資料館だと思います!)1つ1つの展示品に市井の人々の生活を感じ本やテレビで取り上げられたものも多かったのですが、「どんな番組を見るよりも、ここに来た方が分かることは多いな」と感じました。
改めて、戦争関連の番組はできないと、途方に暮れ平和公園を彷徨っていたところ、出会ったのが被爆樹木でした。木の存在は知っていました…。しかし、相手はモノを言わない木…。番組の題材にはなりにくいと思い、あまり気に留めていなかったのです。その日…、日差しは暖かく、しばらく木のそばにいました。「平和だな~。ただ木をぼ~っと見ることができるなんて…」そこで「被爆樹木を入り口に平和な気持ちになれるような番組を目指そう!」と思い立ちました。
番組は被爆樹木を大切に思う人たちのオムニバス。樹木医、被爆者、そして被爆樹木を未来に語り継いでくれる子どもたちが出演してくれました。今を生きる人たちの明るい物語になったと思います。