#305 生きがい ~障がい者支援の現場から~

2022年06月25日(土)05:20~05:50(テレビ朝日 放送) 大分放送 制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

大分県別府市にある「社会福祉法人 農協共済 別府リハビリテーションセンター」。病気や事故で脳に損傷を負い後遺症のある人が、自立した生活を送れるよう、さまざまな訓練をおこなうリハビリテーション施設です。施設内の「障害者支援施設にじ」では、日常生活のリハーサルの場として、掃除や洗濯など身の回りのことは利用者自身で行っています。

2019年から「にじ」のスタッフとして働く和田大輔さん(46)38歳のとき脳出血を発症、右片まひと失語症の障がいがあります。和田さんは「にじ」の元利用者。発症後しばらくは自分が社会復帰するのは無理だと思っていました。両親も、息子が再び就労できるとは夢にも思っていませんでした。和田さんの主な仕事内容は、パソコンなどの事務作業と、他の部署に書類を届けるメッセンジャー業務。言葉を使う仕事は脳の疲労につながるため、事務作業8割、メッセンジャー業務2割というのが一日の業務の割合です。

和田さんの就労につながった訓練が「就労移行支援」というプログラム。施設内の清掃やパソコン作業などを仕事に見立て、週5日、集団の中で働くリズムやスキルを身につけていきます。

今春「にじ」のスタッフとして新たに加わったのが黒木利昭さん(40)。黒木さんも和田さんと同じ障がいがある「にじ」の元利用者です。黒木さんは「にじ」でのリハビリ中、訓練プログラムのひとつ革工芸に興味を持ち、独学で技術を磨きました。「人に革工芸を教えたい」というのが黒木さんの目標です。

少しずつ社会復帰をはたしていく和田さん、そして、全力でサポートするスタッフ…
笑顔あふれる日々を見つめます。

編集後記

ディレクター:藤澤 真由美

不慮の事故や予期せぬ病気の発症などで、一命はとりとめたものの、これまで当たり前にできていたことができなくなったとき、人はどうやって生きる希望を持てばよいのか…。

主人公の和田大輔さんも後輩の黒木利昭さんも、脳出血を発症したのは30代後半バリバリの働き盛り…。ふたりとも発症直後は、社会復帰は無理だとあきらめかけていました。しかし施設スタッフの支えや、同じ障がいのある人がリハビリを通して自立していく姿を見るうちに「自分もやればできるのでは」と思うようになり、リハビリに励んで就労に至ったといいます。失語症の和田さんは、ゆっくりわかりやすい言葉で問いかければ、理解して答えてくれますが、今のように言葉がスムーズに出るようになったのは、就労し始めてからだそうです。職場の仲間から何かを聞かれたとき、否が応でも答えなければならない…、それを繰り返すうちに少しずつ言葉が出てくるようになったそうです。そして和田さんは再び自動車の運転ができるようになると、すぐに車を購入しました。それは車を購入したわずか4か月後に病気を発症し、新車を手放さなければならなかったからです。今は同じ車種の福祉用改造車両で買い物などに出かけています。

「生きる希望」とは、新しく何か大きな目標を掲げることではなく、あたり前にできていたことがもう一度できるようになること…。そしてそれをサポートする全国の医療・福祉現場の皆様に心から敬意を表します。

番組情報

社会福祉法人 農協共済 別府リハビリテーションセンター
【住所】大分県別府市鶴見1026-10
【電話】0977-67-1711
【ホームページ】https://brc.or.jp/

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