#299 海のごみを“宝物”に! ~キラリ輝く男の未来~

2022年5月14日(土)05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) メ~テレ 制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

海のごみを拾うたび「宝だ!」と目を輝かせる男性がいます。元航海士の間瀬雅介さん(29)。海洋プラスチックごみを“美しい商品”に変え、販売する仕事をしています。商品の種類は、ピアスをはじめ、ランプやテーブルなど様々。間瀬さんの目標は、プラスチックごみの概念を変えること。今まで「ごみ」として扱われてきた廃棄プラスチックに付加価値を付けていくことを目指しています。

間瀬さんは202012月、家族で名古屋から三重県鳥羽市に移住。リアス海岸が続き、カキや真珠の養殖が盛んな地域です。移住のきっかけは、カキの養殖業を営む、浅尾大輔さん(43)の存在でした。浅尾さんと出会ったその日に意気投合、移住を決めました。間瀬さんは、浅尾さんに紹介してもらい鳥羽に工場を借りて「REMARE(リマーレ)」という会社を設立。現在は、地元の漁業従事者と海岸の清掃活動を行っています。また、カキの養殖業者から災害で使えなくなってしまった漁具を引き取ってほしいとの相談が…。漁業用のロープ、実はプラスチックでできているため、リマーレで再資源化していきます。

鳥羽に来た頃はカキの養殖を手伝って生計を立てていた間瀬さん。その後、補助金や銀行の融資などで設備を整え、1年経ってようやく商品の製造を本格化。全国のファッション業界や観光業界などから商品の発注があります。高級ブランドとの取引もすでにスタート。そんな間瀬さんに憧れて「仕事を手伝いたい!」と全国から若者が集まってきます。

地元の人や若者たちと共に“ごみの価値観”を変えようとする、間瀬さんの日々を追いました。

編集後記

ディレクター:松尾有美(メーテレ)

私が間瀬雅介さんと出会ったのは20213月。その当時、彼は「海洋プラスチックアーティスト」として活動していました。間瀬さんの生み出すアイテムたちは、まるで現代アートのようでその美しい世界に引き込まれました。幼い頃から抱いていた世の中への疑問をアートで表現して発信する‟芸術的な発想力”に感銘を受けたのが間瀬さんを密着したいと思ったキッカケです。子どもの頃から人とは違う感覚や感性を持ち、人と違う人生を歩むことを決めて、現在は鳥羽を拠点に活動する間瀬さん。密着取材を開始した今年2月は“アーティスト”だった彼が“経営者”として歩んでいく覚悟を決めたタイミングでもありました。まさに転換期。今後のビジネスの方向性で悩んでいましたが、とにかく決断が早かったのが印象的でした。これも目標が明確だからだと思います。今後、間瀬さんの会社は「ペレット」と呼ばれるプラスチックを粒子状にした原料の製造・販売に注力していく予定とのことです。

「間瀬さんは人たらしなんです。ほっとけなくて、助けたくなるんです。」これは取材中に地元の人から聞いた言葉です。間瀬さんは鳥羽へ移住して約1年半が経ちますが、地元の人たちも彼のことを応援しています。鳥羽に縁もゆかりもない若者が地域に根付いて活動することは並大抵のことではありません。移住当初はヤンチャな部分が出てしまい、近所に迷惑をかける面もありましたが、徐々に地元の人たちの信用を勝ち取っています。これも間瀬さんの「可能性」や「熱量」が多くの人に伝わったのはもちろん、良き理解者である浅尾大輔さんの存在も大きいと思います。一緒に鳥羽の地で夢を叶えていく仲間であるからこそ、先輩として、間瀬さんを時に見守り、時に厳しく指導しています。

そして、全国から若者も集まってきています。その1人が大束良明さん(20)。大束さんは大学に通いながら、スマホのケースなどを販売する会社を経営しています。自分の売っている商品が、いつかは「ごみ」になると気付いた大束さん。間瀬さんの活動を手伝いながら環境に優しい商品をつくる道を探っています。そして、商品を開発することができて、これからはビジネスパートナーとして一緒に仕事をすることになりました。彼はまた6月に鳥羽へ訪れる予定です。間瀬さんには明確なビジョンがあるからこそ、それを一緒に叶えてくれる仲間が現れ、どんどん夢を形にしていっています。

海を愛し、海のごみを「宝」と呼ぶ男・間瀬さん。鳥羽の地にやってきて、彼の未来はキラリと輝き始めました。

番組情報

REMARE(リマーレ)
【HP】 https://www.kasabuta.org/

※6月にHPリニューアル予定。以降はURLが変わります。

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