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- ※北日本放送は次週放送はお休みとなります。
ご注意ください。
富山県南砺市立野原にあるワイナリー「トレボー」。社長の中山安治さん(71)は、高岡市で45年間酒屋を営んできました。67歳で息子に店を譲り、自らワインをつくろうと会社を設立、ワイナリーを始めました。目標は、立野原をフランスのブルゴーニュのような「果樹の郷」にし、人が集まる観光地として地域を盛り上げること。
実は中山さん、もともとは下戸でした。酒屋を始めたきっかけは、21歳で学生結婚した妻、雅子さんが酒屋の娘だったこと。酒類販売の規制緩和や病気など数々の苦難を乗り越え、ワインに人生を捧げてきた中山さんと、それを支えてきた雅子さん。67歳でワイナリーを始めたい、破産するかもしれないと告げたとき、雅子さんの言葉は「破産なら付き合ってあげる…」だったといいます。
酒屋を継いだのは、次男の士門さん。自分がやっていたフランス料理店と父の酒屋、どちらを残すべきか考えたとき「秒で答えが出た」といいます。
2020年に完成したワイナリー。心強い仲間も集まりました。醸造長は、富山県内の酒蔵で10年余り杜氏を務めた松倉さん(37)。目指す味を実現するためのキーパーソンです。栽培長は、山梨県の勝沼でワインづくりをしていた望月さん(29)。経験豊富なエースです。
雨が多く、冬は雪が降り積もる富山県でのブドウ栽培は簡単ではありません。しかし、仲間とのチームワークや情熱、しっかりとした対策、さらにIoT技術も活用してつくる、この土地ならではのワイン…2020年は、自社ブドウでつくるワインは白のみ、200本でした。2021年は、赤白それぞれ1000本あまり瓶詰めすることができ、スタッフも感無量。
ワインで地域を元気にしたい…明るく前向きな中山さんの日常を見つめます。
編集後記
ディレクター:西方麻奈美(北日本放送)
取材させていただいた皆さん、家族も仕事も大切にしておられる方ばかりで、私も編集しながら温かい気持ちになりました。
度重なる苦難にもめげず、いくつになっても挑戦を続ける中山さん。「愚痴をこぼすと同情はされても誰も助けてくれん。しっかりやれば周りは見てる。」という言葉は特に心に響きました。67歳で破産するかもしれない挑戦を始める夫に「破産なら付き合ってあげる」と言う妻、雅子さん。番組には入りきらなかったのですが、取材中にお二人が「お互いに相手から尊敬されないような行動はしない」「同級生なので気楽な一方、ある種の緊張感を今も持っている」とおっしゃっていて、なるほど参考にしたいと思いました。
父に代わって酒屋を継いだ次男の士門さん。インターネット販売が台頭し珍しいお酒が簡単に手に入る時代、お酒だけでなく、こだわりのおつまみをお酒に合わせて提案できるお店にシフトしました。時代に合わせて、自分なりの方法で新しいことに挑戦する姿勢は父親譲りなのかもしれません。
日本酒のベテラン杜氏から、ワインの醸造家に転身した松倉さん。発酵という点では同じお酒でも、原料も違えば栽培という全く初めての仕事も一から覚えなくてはならない。妻は看護師で忙しく、小さい子どもがいたこともあり最初は家族に反対されたそうです。色々な想いを抱えていたからこそ、瓶詰めの時の達成感はひとしおだったのではと思います。
ワインの一大産地、山梨県の勝沼から移住してきた望月さん。ワイン造りが心から好きなんだと伝わってくる方でした。妻の出身地だった為たまたま移住したそうですが、まさにトレボーに来るべくして富山へ導かれたような存在です。
様々な背景を持つ精鋭たちが一丸となって、試行錯誤しながら目標を達成していく様子は、少年マンガのようにカッコよくて応援したい気持ちになりました。
番組情報
トレボー株式会社
【住所】富山県南砺市立野原西(コート・ドール)1197番地
【電話】0763-77-4639
【HP】https://tresbeau.co.jp/