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ご注意ください。
石川県金沢市郊外の里山にある「きよし農園」代表の多田礼奈さん(28)。農業を始めて5年、育てているのは金沢の伝統野菜「ヘタ紫なす」と香り豊かな「金沢ゆず」。従業員は祖母の田中照子さんと前職を早期退職した父の田中光夫さん。夏に収穫ピークを迎えるヘタ紫なすは、品種改良がされていないため栽培が難しく生産者が年々減っています。しかし礼奈さんは「単純にヘタ紫なすのほうがおいしい思う。これは守るべき種」と語ります。その魅力を知ってもらおうとホームページの充実や可愛らしいロゴ作り、さらに野外で1日限定のナス料理レストランを開くなど、若い感性で伝統野菜を守っています。
そんな礼奈さんですが、学校生活になじめず高校中退という過去も。そんな時農業を始めるきっかけとなったのが祖父・清さん。清さんの農園を手伝うなか、農業に魅力と可能性を感じるようになったといいます。その後、病気になってしまった清さんにかわり農園を継ぐことを決意。清さん亡き後、農園に
「きよし農園」と名付けました。
ヘタ紫なすと同様、清さんから受け継いだのが金沢ゆず。寒暖差が激しい気候で育つため皮が分厚くボコボコし、香りも濃いのが特徴。大切に金沢ゆずを育てるなか、問題となってきたのが市場に出せない規格外品。礼奈さんはそんな問題を解決するため、ゆずをはじめ地域の規格外品を扱った加工販売所のオープンを目指しています。
祖父から受け継いだ農園で、農業の魅力と価値をもっと上げたい…キラキラ輝く若手女性農家の日々を見つめます。
編集後記
ディレクター:亀山貴洋(北陸放送)
取材する中で多田礼奈さんはよく「知ってもらうために」という言葉を使っていたのが印象的です。生産量が減少傾向にある伝統野菜ヘタ紫なすの生産量をあえて3倍に増やす、様々な飲食店とコラボ商品を開発する、イベントを企画するなど積極的な活動は全て知ってもらうためです。「ただおいしいものを作るだけではもう農家はやっていけない」そんな礼奈さんの強い思いを感じました。ナス収穫ピークの真夏日、しゃべる余裕もないほどの忙しさの中こうして取材に応じてくれたのもきっと知ってもらうためなのでしょう。いい意味で彼女に利用された形です(笑)
番組内では触れられませんでしたが、毎年金沢ゆずの収穫に合わせて開催される「金沢ゆず 香るん祭り」という多田さんが中心となって2017年から始めたイベントがあります。取材を始めた当初はそのお祭りに向けた活動を伝えていくつもりでしたが、コロナ禍で2年連続の中止が決定しました。それでも多田さんは今できることを全力で取り組んでいきます。それは、農家にとって避けては通れない問題である規格外品を扱った加工販売所を建てるという計画です。しかも自分のところだけでなく他の農家から出た規格外品も扱って地域全体で問題解決を考えていると知り、率直に「すごく頼もしい人だな」と感じました。
建築士さんと模型を前に真剣に打ち合わせする姿は農家というより敏腕の実業家に見えました。多田さんに将来の夢を聞くと「農業と農作物の魅力と価値をあげたい」と答えてくれました。この加工所もそんな夢への第一歩となるはずです。
農家という職業が子供たちの選択に自然に入ってくるようになればと語る礼奈さん、可能性に満ちた職業・農家の姿にこれからも注目していきたいです。
番組情報
きよし農園
【HP】https://kiyoshinouen.jp/
【メール(お問い合わせ)】5130reina@gmail.com