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ご注意ください。
高知県安芸市のユズ農園で働く瀬川紘さん(28)。南国高知の太陽が照りつけるなかでの厳しい農作業…それでも周りの人たちと他愛もない会話をしながら、なごやかに進んでいきます。瀬川さんはかつて仕事や人間関係がうまくいかず「ひきこもり」を経験したことも。2年前からユズ農園で働いており、周りの人に支えられながら日々、農業を習得しています。
生きづらさを抱えた人や障がいがある人が農業を通じて再チャレンジしていくこと…これは「農業」と「福祉」を合わせて「農福連携」と呼ばれ、近年注目されています。障がいがある人など100人近くが働いている安芸市は、農福連携が進んだ地域。
瀬川さんを支えるのは農園主の千光士尚史さん(40)とJA高知県の農業就労サポーター・横山木実子さん(58)。
千光士さんは、かつて大学院で国際政治学を研究していましたが、故郷に帰って実家の農業を継ぐことに。農福連携が地元で進んでいることを知り、瀬川さんを雇ったといいます。横山さんは高知県内のJAでは初の、障がい者の就農をサポートする職員。いっしょに農作業しながら、仕事や生活の相談にものっています。こうした人たちに支えられながら、明るく元気に頑張る瀬川さん…大きな夢を抱いていました。
編集後記
ディレクター:池上 浩(高知放送)
農業と福祉を結びつけた「農福連携」。言葉はなんとなく聞いたことがありましたが、具体的にはよく知りませんでした。インターネットや本で調べてみると高齢化が進み働き手不足の農業で、障がいがある人には仕事をすることができる、どちらかというと雇用のマッチングという点で語られることが多いようです。確かにそうですが、「農福連携」の現場は多様でした。
福祉といっても対象となるのは障がいがある人だけではなく、「ひきこもり」など生きづらさを抱えた人も含まれます。
今回、取材対象となった28歳の青年はかつて引きこもりを経験し、2年前から高知県安芸市のユズ園で働いています。以前は人間関係で悩んだ青年は農園主やJA高知県の農業就労サポーター、その他多くの方が支えます。日々の農作業や休憩時間中の何気ない会話で仕事や生活のことをフォローしながら支えていきます。そこにはジョークが飛び交う田舎のありふれた風景がありました。
今回の日本のチカラでは、そうした生き生きした状況をできるだけ描きたいと思いました。
番組の中での会話はほとんど土佐弁で、他県の方にはわかりにくいかもしれませんが、高知の農業の現場をできるだけありのまま出したいと考えました。
「農福連携」を私なりに数ヶ月見てきて感じたことをひとこと言えば、農業は「駆け込み寺」のようなものです。太陽の下で汗を流す農業は人間の本来の姿を回復するのにいいのかもしれません。そして、それを助けるのは周りの人のサポート。「農福連携」はこれからもっと注目されていくでしょうが、いずれは「農福連携」という言葉がなくても、皆が普通に働ける時代がやってくればいいと思います。