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福井県坂井市三国町。江戸時代には北前船の寄港地として栄えた港町です。この町で、家計の支えとして古くから行われてきたのが海女漁。福井県の無形民俗文化財に指定されている伝統的な素潜り漁です。しかし近年は高齢化が進み、担い手不足が大きな問題に。そんななか、海女になることを決めた女性がいます。民宿の一人娘、松原美愉さん(25)。子どもの頃から地元三国の海が大好きで、公園で遊ぶよりも海に潜り、海中の世界を見るのが何よりの楽しみだったといいます。
そんな美愉さんにとって海を自由に泳ぎ回り、獲物をとる「海女」は憧れの存在でした。2020年、念願のデビューを果たした新人海女の美愉さん。目指すのは「獲物だけでなく、海の環境や人を思うことができる一人前の海女になること」。40歳以上年上のベテラン海女達に見守られながら、修業に励んでいます。
家族も美愉さんが海女として成長していく姿を温かく見守っています。父は民宿を経営しながら漁師として魚を釣り、娘がとってきたワカメ、アワビやサザエなどを民宿のお客さんに提供。貴重な海の幸をとってきてくれる娘と一緒に働ける…それがなによりも嬉しいと語ります。父親が釣った魚と自分がとった海産物をお客さんに食べてもらい「美味しい!また三国に来たい!」…そう喜んでもらえることが幸せだという美愉さん。
彼女は海女文化の発信にも挑戦中。地元の高校で講師として授業を行い、より若い世代に仕事の魅力を伝えています。長い歴史をもつ海女の文化は、伝統を守ろうと願う人々によって紡がれてきました。文化の継承を支えるのは、一見すると地味な「見守り力」と日本人が忘れかけている「支え合いの心」。ふる里の伝統を受け継ぐ、新人海女の物語です。
編集後記
ディレクター:五十嵐康平(福井放送)
「美愉ちゃんの取材はいいがあんたらにはいくつかのルールを守ってもらう。ルールを破るなら取材は一切させない!」。今回の主人公、新人海女の増田美愉さんを取材するためのお願いに行ったとき、海女の代表・鹿倉幸子さん(68)が強張った表情で私に放った言葉です。正直、すごく恐かったことを覚えています。
提示された取材ルールとは、「密漁を防ぐため場所が特定される撮影はしない」。「海女たちに謝礼品を渡さない」。そして「若い新人海女を守る」。最後に示されたルールからベテラン海女たちの若い海女への熱い思いを知り、自分が抱いた恐怖の感情は誤りだったことに気がつきました。鹿倉さんが強調したのは「美愉さんを思い、守る心を持つこと」。ベテラン海女は新しくこの世界に仲間入りした美愉さんの気持ちを大事にしながら一人前の海女に育てたいと思っていたのです。
初めは、海女の皆さんはきっとクセが強い人ばかりだろうと思っていましたが、取材を進めていくにつれ、言葉はきつくても心の中は強く優しいのだと気がつきました。一番嬉しかったのが取材の終盤、海女の代表・鹿倉さんに「あんたらは信用しているよ」と言ってもらえたことです。そして一番悲しかったのは美愉さんに「五十嵐さんが取材にくるとアワビが全くとれなくなる(笑)」と言われたことでした。
実際、この年のワカメ漁は例年より海が荒れ、アワビも不漁。ベテラン海女さん曰く「五十嵐さんの苗字に“嵐”が入っているから、海の恵みを全て流していってしまった」。自然の恩恵を受け、海に感謝して生きている海女さんらしい言葉です。
印象的だった話があります。「無理してまで海女さんを続けなくてもいい。他にしたいことがあれば別の道を歩んでもいい」。とあるベテラン海女が美愉さんに対してもらした言葉です。高齢化・担い手不足が進む中で、本来なら「一生海女さんをしてほしい」なんて言葉が聞こえてきてもおかしくないと私は考えていました。しかし、新人の美愉さんにプレッシャーになるような言葉を発することなく、過度な期待はせず、みんなが温かく関わっている姿が心に残っています。
決して派手ではない、一見すると地味な見守り力。そして日本人が近年忘れかけている地域の人同士の支え合い。そんな絆の中に、伝統の海女文化を継承していく鍵が隠れているのではないでしょうか。
番組情報
民宿ちひろ
【ホームページ】http://www.392kani.com/
石森実和さんインスタグラム
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