#265 ワンコインで地球をクリーンアップ!?

2021年07月10日(土)(テレビ朝日 放送) 沖縄テレビ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

お金を払ってゴミ拾いを楽しみながら、地域と交流するプログラム「プロジェクトマナティ」…500円を払って専用のゴミ袋をレンタルし、ゴミを拾った後は袋ごと返却する仕組みです。沖縄を訪れた観光客がゴミ拾いをして自然に還元したいと思ったとき、ゴミを持ち帰らなくてもいいように「カジュアルでポップなゴミ拾い」をコンセプトに生み出されました。

 企画を立ち上げたのは、沖縄県出身の起業家・金城由希乃(きんじょう ゆきの)さん。「ゴミ拾いの新たなカタチを沖縄で広めたい。さらに地域に喜ばれたら最高!」と意気込んでいます。そもそも、なぜお金を払ってまでゴミ拾いをするのでしょうか?

海から毎日のように流れてくる「漂着ゴミ」や「マイクロプラスチック」は景観や生態系を脅かすとして、世界の課題となっています。海に囲まれた沖縄の小規模離島では、住民や島に滞在する観光客が出す以上の漂着ゴミが確認されることも多く、その収集方法や処理費用を巡って自治体を悩ませています。

金城さんは沖縄の海を眺めているとき、ふと目に入った砂浜のゴミをきっかけに、「どこからゴミはきたのか?」「どうして拾えないのか?」など、様々な疑問を持ち始めました。検討を重ねた結果、ゴミ拾いを楽しみながら地域と交流する取り組みをスタートさせたといいます。

 しかし「プロジェクトマナティ」はゴミ問題を解決するプロジェクトではなく、あくまでも「地域との交流」がメイン。金城さんは「お金を払って、普段訪れることのない地域でゴミを拾えば、今までになかった交流体験が得られる」と強調。ついでに「ゴミ問題」を考えるきっかけになればと、ゆるやかな気持ちで賛同の輪を広げています。

プロジェクトのスタートから1年…「なぜゴミ拾いにお金を払うの?」という声は常に絶えません。しかし金城さんは笑顔を絶やさず、県内各地に住む「マナティーパートナー」と呼ばれる協力者や、フリーカメラマンの夫に支えられながら「お金を払うゴミ拾い」の概念を広めようと奮闘しています。そんな等身大の彼女の日常を見つめます。

編集後記

ディレクター:嘉数 鉄太郎

番組の主人公である金城由希乃さんから「お金を払ってゴミを拾い、かつ地域に喜ばれる」という「プロジェクトマナティ」の構想を聞かされた時、「意味が分からない」というのが率直な気持ちでした。海からやってくる「漂着ゴミ」をはじめとした「海洋ゴミ」の問題は世界的な関心もあるので、取材を始めたところ、そもそもゴミ処理にお金も人出もかかる事や、ボランティアだからといってビーチクリーンが簡単にできるわけではないという実情など、一言で片づけられない複雑さを痛感しました。

ただ、金城さんは「プロジェクトマナティ」で、「ゴミ問題を解決するものではなく、ゴミ拾いを通じて地域と交流を深めたい」として位置付けています。番組ではゴミ問題をクローズアップするのではなく、お金を払ってゴミ拾いをするという概念が沖縄で少しずつ広まっている状況や、マナティが地域に喜んでもらっているという交流の場面を見せていくことを意識しました。何よりも金城由希乃さんが笑顔を絶やさない魅力的な主人公だったことは、作り手としてとても助けられました。

今回番組の取材で何度もお金を払ってゴミ拾いをする機会を目の当たりにし、自分自身も「マナティ」を体験しましたが、常に「不思議」な気分を味わいました。

その「不思議」な感覚、ゆるやかな時間を番組では十分にお伝え出来なかったかもしれませんので、気になった視聴者の皆様は、新型コロナの状況が落ち着きましたら、ぜひ沖縄で「マナティ」を体感してほしいと思います。

番組情報

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