#247 富山発 冒険に出よう! ~活気づけ!じいさんも、ばあさんも、地場産業も~

2021年01月16日(土)(テレビ朝日 放送) 北日本放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

「ゲームのやりすぎダメ!」と注意したり注意されたりした経験はありますか?そんなゲーム競技・eスポーツをまちおこしの起爆剤にしようと立ち上がった男性が、今回の主人公・堺谷陽平さんです。

学生時代の堺谷さんには、ある口癖がありました。「富山はいてもつまらない」。堺谷さんのふるさと・富山県高岡市は、400年以上の伝統を誇り歴史文化が色濃く残る一方、近年は人口減少や高齢化が進み、人通りもまばらに。そんなふるさとへの思いを180度変えるきっかけとなったのが、24歳のときに飛び出した東南アジアの放浪の旅。そこで見た景色は、決して裕福とは言えない暮らし、エネルギッシュで楽しそうに暮らす人々でした。

「何もない」のではなく、「自分の色に変える『余白』がある」と発想の転換を図った堺谷さん。低迷が叫ばれる高岡での冒険が始まりました。最初は予算5万円から始まった小さなゲームイベントは、今や県内外から3000人以上が集まる祭典に急成長。地元の銘酒の酒蔵を会場に使ったり、賞品に海の幸・ベニズワイガニを扱ったり…奇想天外な発想はどれも地元愛に溢れていました。高岡の町でeスポーツは、異質極まりない全くの新参者。しかし堺谷さんのアイデアに賛同する地元企業とワンチームで取り組みます。

eスポーツの裾野が広がる中、高齢者もゲームコントローラーを握ります。介護予防や認知症予防にも期待されるeスポーツは、高齢者たちの憩いの場でも活躍。オタクの遊びと揶揄されるゲームが、高齢者たちを笑顔にしている光景――それは堺谷さんにとっても予想外でした。

堺谷さんがeスポーツの道に進む背中を押してくれた人生の師・小竹源勇さんは言います。「ダニ(堺谷)は他の若者に比べて変わってる。けど、本当に変わっていた男なのか変わっていなかったのか、これからわかる」
地方都市で「まちおこし」という冒険に繰り出した男性の物語。主人公は「ちょっぴり変わっているのか、変わっていないのか」。感じ方は、ご覧いただいたみなさんの自由です。

 

編集後記

ディレクター:堀下 航暉

この番組を制作した張本人、つまり私のことですが、ゲームについて何の知識もありません。ゲーマー同士の会話で理解に達した内容は、1割あったかなかったか…。しかも彼らゲーマーは、相撲でいうところの四股名のような別名があるんですね。初めて知りました。「ゲームはオタクの遊び」とどこかで考えながらの取材スタート。同時に、ゲームがなぜ‘スポーツ’とまで呼ばれるのか…ずっと疑問を抱いていました。

その糸口を見つけたのは、あるゲーム大会の予選の様子を取材した時のこと。選手たちはみな対面して、言葉を発さずに対戦していました。「え?将棋の会場?」と思わず会場を間違ったかと思ったほどです。深くため息をつく選手、指先をこすり集中する選手、ゆっくり瞬きをする選手――人が一生懸命になる姿の美しさはスポーツそのものでした。驚いたのは、試合後の選手たちの交流。勝ち負け関係なしにノーサイド。初めて会った人と仲良くなり、家まで車で送っていくという人もいました。新型コロナウイルス禍でもゲームはオンラインでつなげば簡単に行える分野。しかし、人と会って対戦し交流するのが何よりも幸せだそうです。

ゲーム無知な私でも取材を通してわかったこと――それはゲームに真剣な顔で向かう若者にも、自然と笑顔でコントローラーを握る高齢者も、ゲーム・eスポーツが1つの生き甲斐になっているということです。町の低迷が叫ばれる富山県高岡市にも、時間をかけて新たな文化が生まれ、未来を切り開く光が差し込もうとしているのだと感じました。

今回の主人公・堺谷陽平さんは、取材当初「eスポーツ関連の仕事をするようになってゲームが全然できていない」と少し不満げな様子でした。たしかに好きなことを仕事にした結果、好きなことに割ける時間が減るとは、本末転倒。しかしそれは違いました。取材の中で、新しいことに挑戦したり、地域の人と顔を合わせて色々なことを吸収したりする堺谷さん。なるほど、この人は「まちおこし」という一種のゲームを楽しんでいるのだと気づきました。

「ゲーマーは成長を感じれないと、やっていけないかもしれないですね」。堺谷さんの会社で働く1人の男性(ゲーマー)の言葉です。成長を感じるやりがいは、まちおこしに尽力する堺谷さんにも通ずるのではないでしょうか?町がだんだんと変わっていく様を見ることが、ゲーマーにとって至福なのかもしれません。

1人の主人公が物語の中でステップアップしていくゲームのような感覚へと、見る人をいざないたい…という遊び心を持って番組を作りました。町を見渡せば懸命に仕事をするキャラクターたちがいて、後ろを振り返れば静かに町を見守る大仏がいて、空を見上げれば鳥が違う町へと飛んでいく…。何気ない日常の中にも、地域のチカラはたくさん転がっています。堺谷さんの出身地である富山県高岡市を冒険している気分を味わいながら、一緒にまちおこしのヒントを探してみませんか?

番組情報

株式会社ZORGE
【住所】富山県高岡市御旅屋町68 ニュー立山ビル4
HPhttp://zorge.jp/

きららかネットワーク
【住所】富山県射水市西高木795
【メール】kirarakanet@gmail.com

佐野政製作所
【住所】富山県高岡市長慶寺1069【電話】0766-24-8908

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