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ご注意ください。
緑の茶畑の中を走る観光バス。鹿児島県南九州市にある「南薩観光」は、バスツアーから冠婚葬祭の送迎まで、旅の足、地元の足として日々走る貸切バス会社です。バス3台からスタートした小さな会社ながら、独自のツアー企画で旅行事業を拡大。日本の南の玄関口、鹿児島の地の利を活かし、訪日外国人(インバウンド)に向けた魅力ある旅で、アジアからの団体旅行客を呼び込んできました。
旅行会社に勤務後、家業のバス会社を継いだ社長の菊永正三さん(51)は、豊富な海外経験を元にアジアや海外に目を向けてきました。「地域に人を呼ぶことこそ活力になる」という思いから・・・快適なバス旅を発信しようと、2019年には「ラグジュアリーバス」を導入。新たなツアー戦略に動き出そうとした矢先、観光業界は思わぬ逆風を受けました。新型コロナウィルス、東京オリンピックの延期・・・旅行自粛の空気の中、観光バスは運休を余儀なくされたのです。
バスドライバーに憧れて転職した別府加奈子さん(35)ら乗務員は、運行の再開を待つ日々。地方の旅行会社、バスの存在価値はどこにあるのか・・・逆境の中、ローカルバス会社は、新たな「旅」の模索に動き出しました。他県のバス会社と連携しての「オンラインバスツアー」、海外ではなく地元の人を誘う「近場の旅」。近隣に目を向け、まだまだ知らない魅力あるスポットを発掘していくことに新たな旅の価値があると菊永さんは言います。「ピンチをチャンス」に・・・旅をチカラに走り続ける、バス会社の奮闘を追います。
編集後記
ディレクター:布袋貴代江(南日本放送)
大型から小型までズラリと並ぶバス。「こんなこと珍しいんです」という声が返ってきました。バスもドライバーも1年のほとんどをツアー先で過ごすのが日常、車庫にバスが止まっていること自体、めったになかったのです。訪日観光客のツアーから、送迎、スクールバスまで、「旅の足」「地域の足」として走る貸切バス会社のコロナ禍の現状を取材する形になりました。
運行はストップ、でも会社は常に動き続けています。旅の楽しさ、バス旅の魅力をいかに伝えるか・・・アイデアを形にするスタッフと、バスを愛車のごとく点検整備し、いつでも出発できる体制をとるドライバーたち。お客さんと一緒に旅を楽しむ「伴走者」としての“やりがい”を持っていることに気付かされました。
この時代だからこそ、新たな旅を・・・希望を乗せて、バスは走り続けます。
番組情報
GSE南薩観光
【電話】0993-83-2275
【HP】https://www.gse-nansatsu.com/
【住所】鹿児島県南九州市知覧町郡5500