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宮城県の北端に位置する、気仙沼市唐桑半島。かつては遠洋マグロ漁などで賑わったこの半島も、現在は人口減少と高齢化が進んでいます。そんな中、この半島に全国各地の「女子」たちが毎年のように移住しているんです。
年齢は主に20~30代。彼女たちは自らを「ペンターン女子」(半島を意味する英語「ペニンシュラ」+移住を意味する「ターン」)と呼んでいます。そこで仕事をしながら、漁師や農家から魚・野菜をもらったり、地元のお祭りやイベントに参加し、若い感性で新しい風を起こしたり。そんな彼女たちのキラキラした姿を見た女子たちがさらに集まり、今や総勢13人ものペンターン女子が住んでいます。
なぜ唐桑半島に女子が集まるのか。そのきっかけは、東日本大震災でした。2011年、震災により甚大な被害を受けた気仙沼には、全国から学生ボランティアが集まったのです。ペンターン女子で、東京都出身の根岸えまさん(28)もその一人。つぶれた建物、煙を上げる船、「雰囲気がグレー」のように感じた町の中で際立っていたのが、地元の人たちのたくましさでした。「明日生きっぺ。生きよう。」震災のどん底から這い上がる大人たちの姿を見てえまさんは、「この人たちと一緒に生きていきたい」と決意。大学卒業後、唐桑半島へ移住したのです。えまさんだけでなく、ボランティアで唐桑を訪れていた人や、先に移住していた人とつながった人たちが、唐桑半島という地に移り住んだのです。
震災から10年目。ペンターン女子の中にはがれきの撤去をしたことのある人もいれば、当時はまだ小学生だったという人もいます。共通しているのは「唐桑半島が好き」だということ。彼女たちはどんな生活をしているのか?彼女たちを惹きつける唐桑半島の魅力とは?そして、ペンターン女子それぞれの思い-。唐桑だからこそ、自分らしく、ゆたかに生きることができる。そんなペンターン女子に迫りました。
編集後記
ディレクター:清野優理(東北放送)
私が初めてペンターン女子の取材へ行った時、地元の方から「また移住してきたのー?」と声をかけられたことがとても印象的でした。ペンターン女子と同世代の私が、新しいペンターン女子に見えたようです。そんな言葉が出るくらい、この地に若い人の移住が根づいているんだ、と肌で感じた瞬間でした。
唐桑へ通った2か月ほど、彼女たちはびっくりするくらいいつも笑顔で楽しそうでした。その姿に嘘はなくて、仕事が忙しかったり、大変なことはあっても、「自分が楽しいと思うことを、自分らしくやれている」という充実感があるのだと思います。
そして、それを応援しているのが気仙沼・唐桑の地元の人たち。海と共に生きてきた大人たちの目はランと輝き、凄味があります。「どんなに偉くても、どんなにお金持ちでも、どんな大学を出ていても、海に出れば皆一人の人間。」そんな風に感じられる場所はなかなか我々の身近にはありませんし、取材していた私自身、気仙沼でそんな地元の方や広い海を目の前にして、自分を取り巻く肩書の鎧がとれていくような開放感を感じました。
「東日本大震災」と「移住」。ペンターン女子のように、ボランティアをきっかけにその地域の魅力に気づき移住する方もいれば、地元の方が様々な理由から被災地を離れ、別の地域へ移住することもあります。そんな中、移住者と地元の人のパワーが化学反応を起こして、新しいものがどんどん生み出されている。それが気仙沼という町なのかなと思います。そんな町のパワーが少しでも伝われば幸いです。
番組情報
鶴亀食堂
【住所】宮城県気仙沼市魚市場前4-5 みしおね横丁
【電話】0226-25-8834
【営業時間】午前7時~午後1時
鶴亀の湯
住所、電話番号は上記に同じ
【営業時間】午前7時~午後3時
https://kesennuma-tsurukame.com/
ペンターン女子ホームページ
http://pen-turn.com/