#228 海とパインとサマースノー

2020年8月15日(土)(テレビ朝日 放送) 沖縄テレビ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

沖縄本島北部にある名護パイナップルワイナリー。ここにはパイナップルで作られたオリジナルワインやジュースが並ぶ。
ワイン作りの責任者は、石川県出身の畑貴嘉(はた・たかよし)さん。これまで国内外でブドウのワインを作ってきた畑さんが2016年に沖縄に来て、パイナップルでスパークリングワインを造った。それが「サマースノー」だ。
パイナップルワインを造るうえで畑さんが大切にしているのは、単に果実の良し悪しを見るのではなく、その果実の生育状況や土地の風土、歴史を知る姿勢だ。

戦後の沖縄を支えてきたパイナップルの収穫量が、今やピーク時の10分の1程度にとどまっていることや、苗の植え付けから収穫まで2年はかかるため、パイン農家の後継者がなかなか育たないことを、農家と接しながら知っていった。
「パイナップルワインが沖縄から世界に広がれば、沖縄のパイナップル産業はもう一度活性化できるかもしれない」。醸造家、畑さんの原動力はそこにある。

パイナップルワイン造りに専念する一方で、畑さんは地元の友達と一緒にダイビングをしている。沖縄の海に潜って感じたのは、サンゴが美しい一方、白化が進んでいることだった。何とかしたい思いから、畑さんはサンゴの苗を育てる活動を地道にしている。
収穫量が減少する沖縄のパイナップルと、白化が進むサンゴ。

グラスに注いだ時の細かい泡立ちと、ほのかなパイナップルの風味が印象的なサマースノーには、畑さんが伝えたい「海とパインの現実」が込められていた。

編集後記

ディレクター:嘉数鉄太郎(沖縄テレビ)

今回の番組で印象に残るのは、沖縄の夏の映像。灼熱の日差しを受けて育つパイナップルと、畑さんの趣味であるダイビングのシーンだろう。
パイナップル畑で農家と会い、果実の出来から沖縄のパイナップルの歴史といった全体像までを把握していった畑さん。一方で、サンゴの現状については「今、誰かがサンゴを守らなければ、ただ減っていくだけ」と語り、問題の全体像を多くの人間が把握せずにいる現実を冷静に見つめていた。「物事の1点にのみとらわれない、大所高所から物事を見渡す視野の広さ」を、畑さんは自然な形で沖縄の私たちに伝えていた。

減少の一途を辿るパイナップルとサンゴの現状、それを打破したいと願う畑さんが造った「サマースノー」。この番組を通じて、多くの視聴者が「サマースノー」を味わい、爽やかな泡立ちとほのかな甘さを感じてくれたら幸いだ。

番組情報

名護パイナップルワイナリー
【電話】0980-53-0017
【HP】http://www.nagopineapplewinery.com/

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