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北海道・十勝平野の南側に位置する大樹町。
人口およそ5600人。酪農と漁業が主な産業の”北海道らしい”のどかなマチです。ここで、今年5月、日本の宇宙開発の歴史が塗り替えられました。日本初の民間企業が開発した小型ロケットMOMOが、高度113キロの宇宙空間に到達したのです。
ロケットを作り上げたのは、インターステラテクノロジズという宇宙ベンチャー企業。道内はもとより、日本全国から集まった、20代・30代を中心とする23人(MOMO3号機打ち上げ時)の社員です。寝ても覚めてもロケットと向き合う社員たちをまとめるのが、社長の稲川貴大さん(32)の言葉です。大学ではロケットのサークルを立ち上げるほど、ロケットに夢中になりました。卒業後は、埼玉県からそれまで縁がなかった大樹町に移住して、ロケットづくりに励んでいます。
これまでにいくつもの試験ロケットを飛ばしながら、大爆発したり、途中でふらふらと落ちてきたり…道のりは険しいものでした。そこから生まれたのが「観測用小型ロケットMOMO」です。初号機は、機体が回転して高度20キロで通信が途絶えました。2号機は、打ち上げ4秒後に機体が落下・大炎上します。そこからおよそ10か月かけてつくった3号機では、それまでやったことがなかった、機体を立ててエンジンを燃焼する実験を行うなど、万全を期しました。決して平坦ではなかった道のりを経て、冒頭の快挙へとつながります。
実は、大樹町は宇宙開発に30年以上取り組んできました。JAXAの研究機関や実験用の滑走路もあります。インターステラ社が来てから、民間のロケットが飛ぶと信じて応援し続けていたひと、打ち上げには疑心暗鬼だったのに、面白そうだ!と応援を決めた人…
彼らの熱意は、マチの人たちも動かし始めています。
「宇宙をあんまり特別な場所だと思っていない。単なる場所のひとつ」遥か遠い宇宙を、こう言ってのける稲川社長。そして、実際に宇宙へと届く成功を手に収めました。でも、これはまだ宇宙への第一歩。MOMO3号機のあとにつくった4号機は、再び宇宙を目指しましたが、現実はそんなに甘くはありません。
彼らはなぜ、この険しい道を切り拓くのか。まだ誰のものでもない宇宙、それを「みんな」のものに…。
世界を相手に「宇宙をとことん身近に」しようとする若者たちの夢と革命をたどります。
編集後記
ディレクター:澤出梨江(北海道放送)
取材当初、私に「ロケット」はあまりにも遠い夢物語でした。大変失礼ながら、「ロケットなんて飛ぶの!?」とも思っていました。開発現場は、倉庫のような場所で、見せていただく部品や工具類は、ホームセンターやネット通販で買えるものばかりだったのです。
それでも、彼らの熱意と頭脳、世界との大勝負に賭けている!という本気度はひしひしと感じられました。豊かな原資で100%の完成を目指す国のロケットとちがって、高価にならないよう工夫しながら、80%の出来でも宇宙到達への許容範囲で打ち上がるロケットをつくろうとしていること。取材を続けると、彼らが自分たちだけで宇宙を独り占めしようとしているのではないこともわかりました。民間の手でつくろうとするロケットは、もはや夢物語ではなく、新たな可能性を無限に持ち合わせています。これまで、閉ざされた宇宙開発が行われてきた日本で、宇宙を身近に感じようもなかったのが、彼らは必死にその扉を開こうとしているのだと教えてもらったのです。
北海道から目指した宇宙。宇宙到達のその瞬間、自然と涙がこぼれました。応援してきたマチの人たちは、もっともっと大粒の涙です。彼らが私たちに見せようとしている夢の続きは、できるだけ多くの人と共有したいと思っています
番組情報
◆インターステラテクノロジズ
【H P】http://www.istellartech.com/
◆居酒屋たんぽぽ
【住 所】北海道広尾郡大樹町一条通13
【電 話】01558-6-3431
◆キャステム
【住 所】広島県福山市御幸町大字中津原1808-1
【電 話】084-955-2221
【H P】http://www.castem.co.jp/
◆坂根牧場
【H P】http://nyuulife.theshop.jp/about