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冬は地吹雪で有名な青森県中泊町。ここでおいしい米や野菜を作っているのが佐藤イネ子さん(66)。トラクターを自在に操り、地元のイベントでは司会も買って出るとにかく元気な女性。「地域を元気にするには、自分が元気じゃないといけない」という彼女は、元気に行動することで地域の農業や観光を変えてきました。
もともと米農家のイネ子さんが野菜を栽培するようになったのは、1980年代に米の生産調整が強化されたため。転作を考えますが、「やませ」という冷たい北東の風が吹くため野菜の露地栽培が難しい地域でした。そこで挑戦したのがビニールハウスでのトマト栽培。トマトの成功が多角経営の始まりでした。すると、イネ子さんは1993年に青森県初の女性農業経営士に認定されます。
地域の子どもたちにおいしい野菜を食べてほしいという思いが強いイネ子さんは、仲間と「給食思いやり隊」を結成。地元の給食センターに野菜を提供しています。さらに大玉メロンの収穫の時には、地元のこども園の園児を収穫体験に招待。食育にも力を入れています。
新規就農研修生の疑問にも気さくに応じていると「野菜の神様」と慕われるように。
寒さの厳しい冬はビニールハウスでアスパラガスの栽培をしています。寒暖差があるため甘くておいしいと評判です。今ではツアーの観光客も収穫体験にやってくるようになりました。自慢のアスパラガスをもっとアピールしたいと津軽鉄道ストーブ列車の車内でも自ら販売しています。
農業を通じて自分の生まれ育った町を元気にしたいと奮闘するイネ子さんの物語です。
編集後記
ディレクター:對馬敬(青森放送)
いつも元気なイネ子さん。「落ち込むことはありますか?」と聞くと「ない」と答えが返ってきました。とてもうらやましいと思うと同時になぜだろう?と不思議に思いました。落ち込まない人がこの世にいるのだろうかと。
「イネ子さんは、なぜ、いつも元気なのか?」私の取材の裏テーマでした。
米やトマト、メロンにアスパラガスなど様々な農作物を栽培しているため、どれがネタになるのかわからず何度も何度も取材に伺い取材日数は合計35日。でも、イネ子さんはいつも笑顔で嫌な顔をされたことがありません。
農作業中には、ほかで見たこともない自作の道具を度々使っていました。OAでは、「スキーのストックを使った水やり道具」を紹介していますが、それ以外にも「ひもを何本も同じ長さに切る道具」や「立ったまま簡単に土に穴を開けられる道具」など効率よく仕事ができるように道具を自作。楽しんで仕事をしているようにみえました。
また、明るいキャラクターから地元のイベントでは司会を頼まれることが何度もありました。なぜ司会を引き受けるのか聞くと、「せっかく時間を割いて皆が来てくれるのに、つまらない思いをさせたくない。自分が盛り上げて楽しませたい」というのです。
「地域を元気にするためには、まず自分が元気でいないと」とインタビューで話したイネ子さんの言葉になるほどと納得しました。元気に行動することで彼女は地域の農業や観光を変えてきたからです。
アントニオ猪木の「元気があれば何でもできる!」という有名なフレーズがありますが、本当にそうなんだろうなと思うようになりました。そして、タイトルにも「元気」というワードを入れさせてもらいました。とにかく元気なイネ子さんが見所です。
番組情報
◆佐藤イネ子さん … 合同会社「イネ子の畑から」
【H P】http://f-ineko-f.com/index.html
【住 所】〒037-0302青森県北津軽郡中泊町大字薄市字花持12-2
【電 話】090-4554-0988
◆津軽鉄道株式会社
【H P】http://tsutetsu.com/