#207 人生いまが一番(笑) うちら高森チンドン隊

2020年2月1日(土)(テレビ朝日 放送) 山口放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

里山に囲まれた小さな田舎町、山口県岩国市高森地区。かつては山陽道の宿場町として栄えましたが、全国の地方都市同様、人口減少と高齢化が悩みです。

夜、人影まばらな町に女性達の賑やかな歌声が漏れ聞こえてきます。『♪うちら高森チンドン隊・・・お金もなければ、知恵もない、あるのは美貌と若さだけ・・・』声の主は高森チンドン隊。『笑いで世の中を救おう!』と、地域イベントや老人福祉施設を披露の場に活動する女性中心のグループです。演目は洋楽にのせたオリジナルのどじょう掬いに、スコップ三味線、南京玉すだれ等々・・・練習中、メンバーは互いのパフォーマンスを見合っては腹の底から大笑いしたり、ステージの立ち位置を巡って本気の言い争いをしたりと、とにかく大賑わい。エネルギッシュ”過ぎる”姿からは想像出来ませんが、みなさんの平均年齢はなんと70歳オーバーです・・・

高森チンドン隊は2009年に地元商工会の女性部によって立ち上げられました。地域で100年以上続いてきた秋祭りが過疎高齢化を理由に存続の危機を迎え、自分たちの手で活気を取り戻そうと考えたことが設立のきっかけです。とはいえ、楽器が弾けるわけもなく、衣装もあるわけもなく、100円ショップが唯一の頼り。周囲の反応も『きたない、みっともない、品がない』と散々でした。

亀の甲より年の功・・・それでも平均年齢70歳のチンドン隊はへこたれませんでした。パフォーマンスはインターネットを使って猛勉強し、衣装は近所から寄せ集めた古着などを使い、一着一着縫い上げました。その甲斐もあり、高森チンドン隊は今では地域の代名詞として親しまれています。

メンバーみんなが口を揃える言葉があります。それは『人生いまが一番・・・』という言葉。
『祭りを盛り上げたい』その一心で始まったチンドン隊は、生きがいとなり、自身の生き方も変えたというのです。平均年齢70歳の女性グループが歩む、笑顔あふれる第二の人生を記録しました。

編集後記

ディレクター:芳野孝平(山口放送)

毎週火曜日の夜にチンドン隊の練習は行われます。初めての取材、若輩者の私は何気なく“おばあさん達”という言葉を使ってインタビューをしました。すると間髪入れずに返ってきたのは『“おばあさん”違う!私たちは “タカモリジェンヌ”よ~♡(笑)人生まだまだこれから』との言葉…圧倒されました。メンバーの平均年齢は70歳超。なんとも元気な“お姉さま方”の集まりです。

帰路、『自分の祖母が最後に腹の底から笑ったのはいつだろう…』、『定年を迎えた無趣味の父。毎日何をして過ごすのだろうか…』、そんなことを考えていると、隣にいた年上のカメラマンが『うらやましいな…』と彼女らの生き方について呟きました。仲間と一緒に大笑いしたり、スケジュールでビッチリ埋まった手帳を嬉しそうに見せびらかしてきたり…。メンバーの年代に近い自分の祖父母や両親の生活ぶりを思い浮かべた時、第二の人生を謳歌するメンバーの生き様は確かにうらやましものかも知れません。

『今が人生で一番』。仕事、子育てを終え、人生の一線を退いた70代の女性の言葉としては一般的には違和感を覚えるかもしれません。しかし腹の底から笑い声を上げる彼女達の姿を目の当たりにすると、『本当に楽しいのだろうな』と素直に納得することが出来ます。『人生まだまだこれからよ!』と、エネルギー溢れるチンドン隊の日常を通じて『こういう老後もありだな…』と第二の人生の歩み方について考えるきっかけになればと思います。

番組情報

◆高森チンドン隊
【H P】https://takamorichindon.wordpress.com/

◆岩国西商工会周東支所(本所)
【電 話】0827-84-0183(平日8:30~17:15)
【FAX】0827-84-0271
【H P】iwakuninishi@yamaguchi-shokokai.or.jp

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