#142伝統を受け継ぐ女性職人 ~江戸風鈴4代目の挑戦~

2018年8月11(土)(テレビ朝日 放送) テレビ朝日制作 協力/文部科学省 総務省 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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江戸川をはさみ千葉県と接する東京都江戸川区に、創業103年を迎える老舗風鈴工房”篠原風鈴本舗”があります。作っているのは300年間変わらない製法で作られる”江戸風鈴”。2020年の東京オリンピックを前に、伝統工芸品である”江戸風鈴”が注目を集めています。
そして、その篠原風鈴本舗の暖簾を担ぐ4代目は女性職人の、篠原由香利さん(37)。先代の父が急死したことから、30代で老舗風鈴工房の当主となりました。彼女が生み出す風鈴は今までのデザインとは
違う斬新な図柄で話題を呼んでいます。

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篠原風鈴本舗は家族5人と2人の従業員で稼動しています。由香利さんが主に担当しているのは、絵付けと呼ばれる風鈴に絵をつけていく作業。風鈴の内側に下書きをせずに絵を描きます。ハケと筆を繊細に使い分け、色のグラデーションや細かなデザインまで風鈴に落とし込んでいきます。
江戸風鈴の特徴は美しい音色。大量生産の一般的なガラス風鈴との大きな違いがあります。それは、職人が一切型を使わず江戸時代から変わらぬ”宙吹き”と言われる技法です。chikara142-3.jpg
溶かしたガラスを膨らまし、最後の工程、鳴り口のふちをギザギザに。それによって素敵な音色を奏でるようになります。

由香利さんの祖父は、名誉都民にも選ばれた伝説の風鈴職人 儀治さん(93)。7月、江戸川区の祭りには、家族総出で参加して、江戸風鈴の販売をします。お客さんを集め、一際目立っていたのが人気者 儀治さん。そして、篠原家に婿入りした由香利さんの夫 公孝さんも張り切っていました。

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篠原風鈴本舗の年間生産数は、由香利さんが生まれた頃に比べると、5分の1に減っています。
そこで、彼女が今、力を入れていることは、工房での体験教室です。一般のお客さんはもちろん、修学旅行生なども積極的に受け入れています。そこには、”江戸風鈴”を知ってもらいたいという強い思いがあります。

また、夏場は朝から深夜まで風鈴作りに勤しむ
由香利さんですが、浅草の手ぬぐい店で実演販売の機会を得ました。昔に比べ機会が減ってきた実演販売に新デザインを引っ提げて挑もうとしていました。全ては”江戸風鈴”を絶やさない為にどうするのか、彼女の行動は全てその信念に基づいていました。

編集後記

ディレクター:野村 昌彦(テレビ朝日映像)

ひとり暮らしをしているせいか、なかなか風鈴の音を耳にしなくなった一方、最近インスタグラムなどのSNSでは綺麗な風鈴の写真を目にすることが多くなりました。そのなかでもハッシュタグで多く使われていたのが“江戸風鈴”。調べてみると、江戸時代から300年間変わらない製法で作られるということに驚き、さらに、4代目が37歳の女性ということにもっと驚きました。彼女がどんな風な日常を送っているのか、どんな考え方をしているかとても興味が沸きました。

取材で印象に残っているのが、朝から晩まで風鈴作りや体験教室など、全てを風鈴に捧げている姿でした。深夜0時を過ぎても風鈴を作り続ける姿に驚き、数をこなすことはもちろんですが、由香利さんの風鈴1つ1つに対して、妥協しない姿勢があり、今の“篠原風鈴”があるのだと思いました。

篠原風鈴では、マンション暮らしで、なかなか風鈴を飾る場所が無いという家庭の為にもスタンドを開発したり、なにより、今までにない斬新なデザインで風鈴離れを由香利さんは止めようとしています。彼女の“江戸風鈴を知ってもらい、後世に残したい”という強い思いが実現することをひとりの“江戸風鈴”ファンとして願っています。

風情という言葉にあるように、“風”を愛でる心を持つ人間だからこそ、風を音に変える“江戸風鈴”を是非皆さんに楽しんで欲しいです。

番組情報

◆有限会社 篠原風鈴本舗
【住 所】〒133-0065東京都江戸川区南篠崎町4-22-5
【営業時間】9:00 ~18:00(12時~13時は昼休みの為 営業していません)
【H P】http://www.edofurin.com/
【電 話】03-3670-2512
※店舗での風鈴体験教室・風鈴の販売を行っています
※風鈴の販売は、店舗や百貨店での催事、お祭りでの出店、通信販売等多岐に渡ります
詳しくはHPからお問い合わせください
※お祭りで販売していた、缶バッジは店舗と一部のお祭りのみでの販売になります

◆「和のあかり×百段階段2018」
【開催場所】ホテル雅叙園東京(東京都目黒区)※ 頂上の間 に江戸風鈴が展示されています
【開催日時】9月2日(日)まで
【開催時間】月~木曜日/10:00 ~17:00(最終入館16:30)
金・土・日・祝および8月13日~17日/10:00 ~20:00(最終入館19:30)
【H P】http://www.hotelgajoen-tokyo.com/event/wanoakari2018
【電話】03-5434-3140

◆手ぬぐい専門店「かまわぬ」浅草店
【住 所】〒111-0032東京都台東区浅草1-29-6
【営業時間】10:30 〜19:00(年中無休)
【H P】https://kamawanu.co.jp/shop/asakusa.html
【電話】03-6231-6466
※約200種類の手ぬぐいと、国内外から集めた暮らしの道具を販売中
※かまわぬオリジナルの江戸風鈴の販売がございます(5月中旬~8月下旬予定)
番組内で実演販売されていた商品の取り扱いはございません
詳しくは店舗にお問い合わせください

◆手塚治虫生誕90周年記念江戸風鈴に関して
※10月発売予定
【問い合わせ先】マイスタープロモーション
【H P】http://meipro.tokyo/
【電 話】03-6801-7037

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