#117 雨にも負けず ~たけちゃんとふきちゃんのニジマス池~

2017年12月23日(土)(テレビ朝日 放送) 静岡放送制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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静岡県はニジマスの養殖が盛ん。湧水が豊富な富士山麓はきれいな水でしか育たないニジマス養殖に恰好の地。富士宮、裾野、御殿場、小山などに養殖池が点在している。

そんな中、集中豪雨の被害を受けて、自慢の養殖池が崩壊、一文無しになり、再起の夢を追っている養殖業者がいる。たけちゃんこと鈴木武彦さん(58)、ふきちゃんこと富貴子さん(53)の夫婦だ。

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2人の経営するニジマス養殖場「須川養魚場」(小山町)は2010年9月に起きた集中豪雨による土砂災害で、300万匹の養魚が流出し池が壊滅した。2人は廃業も考えたが、同級生や地域の支えを受け
ながら、養殖場の復活を目指している。

廃業止む無しと考えた2人だったが、たけちゃんの高校時代の同級生から100万円の義捐金を受け取った事を機に、養殖業の再建・継続を決意した。養殖池の泥運びは同級生や近所の人が手弁当で駆けつけてくれた。

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2人の夢はかつてのような、卵を孵して成魚まで育てるニジマスの「完全養殖」。しかし、現在の養殖規模は以前の1/4。品質こそ良いが出荷量があまりに少ない。たけちゃんは採卵技術を生かしてアルバイトに行くが、収入を得るに至らない。

ふきちゃんは現金収入を得るため、養殖場の一角にニジマスのルアー用の釣り堀を作ることを計画した。仲間の手弁当による工事で釣堀は完成し、ふきちゃんはホッとするが、たけちゃんに笑顔はない。
養殖の腕は誰にも負けない自負があるが、
人見知りで客商売が大の苦手だからだ。

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しかし、次第にたけちゃんに変化が起きた。客サービスをするようになり、家事もこなすなど、「夫唱婦随」ならぬ「婦唱夫随」になった。今は何処へ行くのも、何をするのも一緒、第2の新婚生活のような暮らしぶりだ。

事業も順調、夫婦円満の中で新たな課題が持ち上がった。大雨が降ると養殖池の水が濁り、ニジマスが死んでしまうのだ。折しも、養殖場の上流に行政の肝いりで大規模な工業団地の造成工事が始まっていた。
2人は役場に向かうが・・

編集後記

ディレクター:松下 広司(静岡放送)

「雨雲のレーダーが真っ赤だから様子を見てきて…」
2010年9月,当時,記者だったわたしのもとに,デスクから電話がかかってきました。町に繋がる国道は通行止めのため,地図を片手に裏道を進みました。町に近づくにつれて,強まる雨…。町が見下ろせる高台に着くと,目の前にあったのは今にも濁流に流されようとする橋でした。カメラマンと一緒に豪雨のなか,リポートしました。
被災した当日は上流部まで行けなかったため,後日,上流部に向かうと土砂で埋まった池の前にたけちゃん,ふきちゃんが立ち尽くしていました。あまりに絶望的な光景で,わたしは何も声を掛けられなかったことを覚えています。

年月を重ねるたびに,ニジマス池は復興に向かい,夫婦の絆は深くなっていきました。特に,釣り堀をオープンするまでの半年間はニジマス池に100回以上,通いました。今,日本ではあらゆる場所で災害が起こっています。被災から立ち上がる前向きな2人をぜひ見てもらいたいと思いこの番組を制作しました。

番組情報

◆須川養魚場(すかわようぎょじょう)
【住 所】〒410-1304静岡県駿東郡小山町藤曲1026-1
【電 話】055-076-0105
【FAX】055-076-5474
【H P】https://www.sukawa.ne.jp

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