#101 上げる動かす守る ~歴史を支える土木工法・曳家(ひきや)~

2017年8月27日(日)(テレビ朝日 放送) 山形放送制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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「曳家(ひきや)」と呼ばれる土木工法があります。

“建物を解体せずに移動する”という職人技で、400年以上の歴史を持ちます。現在は土地の区画整備や道路拡張など、建物の移動が余儀なくされた時に用いれられ、最近は、文化財的建造物の保存技術としても注目を浴びています。

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2015年には、青森県にある国指定重要文化財・弘前城でも曳家が行われました。この現場を任されたのが、山形県の曳家業者『我妻組』。社員は12人。少数精鋭の曳家集団です。
職人たちの陣頭に立つのは、工事部長の石川憲太郎さん42歳。石川さんには、小学生の頃に自宅を火事で無くした苦い過去があります。『それまで家で過ごしていた思い出などが全て消えてしまった』家族の思い出が詰まった「建物」に対して、石川さんは一際強い思いを持っています。

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そんな石川さんの元に、新たな仕事が舞い込んできました。現場は、長井小学校 第一校舎。築84年の木造校舎で国の登録有形文化財にも指定されています。石川さんは誓います。「建物に染み付いている人々の記憶や歴史も一緒に動かすんだ」
子供たちの学び舎であり町のシンボルを守るため、曳家職人・石川さんの経験と技術が試されます。

( 第59回科学技術映像祭において、文部科学大臣賞受賞を受賞いたしました。)

編集後記

ディレクター:沼沢 諭(プライド・トゥ)

「皆さんは、建物に対してどんな思い出がありますか?」
曳家職人の石川憲太郎さんは、建物を預かる際にそこに染み付いた人々の記憶や歴史も
一緒に運ぶと誓う、情に熱い男です。

自宅取材中の一コマを少し…
石川さんの奥さんに、石川さんの若い時の写真を見せて下さいと願いしたところ、
奥さまがにやにやしながら、私に1枚の写真を持ってきてくれました。
若い時の写真ではありましたが、なんと石川さんと元カノさんとの2ショット写真。
石川さんは、結婚して10年。今でも前の彼女との写真は、捨てきれずほとんど残しているそうです…
奥さまも公認済み。お断りしておきますが、石川ご夫婦は円満です(笑)
言い訳は「思い出は、かけがえのない大切なものだから捨てられない」
石川さんは、小学生の頃に自宅を火事で無くしています。
『それまで家で過ごしていた思い出などが、全て消えてしまった…』
苦い過去が、曳家職人としての今の自分を駆り立てています。

石川さんの姿と、男気120%の工事現場から、
思い出の大切さを感じ取ってほしい。
そんな思いで番組を制作しました。

番組情報

◆我妻組
【住 所】山形県米沢市成島町2丁目1-30
【電 話】0238-23-4297
【H P】http://www.wagatsumagumi.jp/

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