#49 森林(もり)と生きる~美林の里の宝もの~

2016年5月29日(日)(テレビ朝日放送) 山形放送制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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全国に美杉の産地として知られる山形県の最上地方。そこに東北地方で最大規模の製材所「庄司製材所」(真室川(まむろがわ)町)があります。
従業員は85人。金山杉を主体とした住宅などの建築材の製材を手掛けています。社長は、たたき上げの庄司和敏さん(68)。脇を固めるのは長男・勲さん(42)、二男・潤さん(40)、三男・剣さん(35)の3兄弟です。豪雪や地域の過疎化など立ちはだかる壁を、独自のアイデアと行動力でプラスに変えてきました。

「先人が残した地元の豊かな森林を生かして地域に貢献したい」と、木材を有効に使って地域で循環させる様々な取り組みを進め、「がんばる中小企業300社」(平成25年、経済産業省選定)にも選ばれました。

chikara49-5.jpg庄司社長は廃校になった母校、及位(のぞき)中学校の校舎を再利用しています。「集落のシンボルの学校を決してなくしたくない」との強い思いがあったからです。
体育館は木材の乾燥施設に生まれ変わり、グラウンドには製材施設を新たに建設しました。廃校跡地の工場利用は山形県内では初めてのケースです。

さらに、体育館の乾燥施設に使われる熱源は、製材の過程で出る木の皮(=バーク)や木くずを最新のボイラーで燃やすことで得ています。これまで厄介者だったバークや木くずがエネルギーに代わり、その上、石油代がかからないシステムを構築したのです。また、木質チップは町内の温泉宿泊施設の燃料に、のこぎりで削った際に出るおが粉は、キノコ栽培の菌床として利用されています。

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春。真室川町の山々は新緑に包まれます。所有するワラビ園には、土壌改良のため、木の皮を燃やした灰をまいて、大勢のお客さんの来園に備えます。不要とされていたり、捨てられていたものに価値を見出す「逆転の発想」がそこにはありました。
「目の前にある木を使う仕組みを作りさえすれば、経済的にも循環が起き、地域で雇用も所得も発生する。先人が私たち後世の人たちのためにと植林した宝の山をきちんと活用する仕組みを作って、次の世代に引き継いでいきたい」と語ります。

編集後記

ディレクター:伊藤 和幸(山形放送)

地震・雷・火事・親父・・・。昔は「おそろしいもの」に数えられていた父親ですが、最近は「やさしいパパ」が増えてきたような気がします。同時に「父親の威厳」もなくなってきたのでは・・・と感じていましたが、息子3人がいる庄司家は違いました!父親からは、まばゆいばかりの光が放たれていました。

庄司社長は木材産業が斜陽産業と言われ始めた時代に製材所を立ち上げ、3人からスタート。今では従業員85人を抱える東北最大規模の製材所になりました。はじめは、苦労話をなかなか伺えず、少し困りました・・・。しかし、会議室(旧音楽室)に飾ってある絵画への思いを聞かせてもらったとき、庄司さんの当時の苦労がひしひしと伝わってきたのです。その絵画は、大雪の中、もくもくと煙を上げた蒸気機関車が前へ進もうとしている油絵でした。一生懸命働いてきた「父親の背中」を、息子たちはずっと見てきたんだろうなあと実感しました。

庄司社長の熱い想いは今、3人の息子たちに引き継がれ3倍になっているようでした。その情熱が地元を盛り上げるチカラになっていくと信じています。

番組情報

◆庄司製材所 本社
【住 所】〒999-5603 山形県最上郡真室川町大字大滝108-2
【電 話】0233-66-2032
【FAX】0233-66-2123

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