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2013年1月6日(日)(テレビ朝日 放送) 東北放送制作 協力 文部科学省
伝統の正月料理・仙台雑煮。
具だくさんでイクラもふんだんに使われ、その豪華さは全国でも屈指と云われています。
最大の特徴は「焼きハゼ」でダシをとる事。仙台雑煮の味の決め手です。
しかし、昔ながらの製法でつくる焼きハゼは、近年希少なものとなっていました。
そこに起こった東日本大震災。一杯の雑煮には多くのドラマも詰まっています
舞台は宮城県石巻市長面(ながつら)。
ここは被災地の中でもとりわけ被害の大きかった地区で、震災から2年になろうとする今も海水が引かず、ライフラインも全く復旧していません。
今やもう誰も住んでいない、住む事が出来ないふるさとで、榊照子さんは焼きハゼをつくり続けています。
榊さんしかつくれないと云われる絶品の焼きハゼ。その秘密は、代々受け継がれてきた製法にあります。
新鮮なハゼを薪でじっくりと焼き上げ、一週間燻す。
これにより、独特の生臭さがあるハゼが、最高のダシへと変わってゆくのです。
その為に榊さんは毎朝4時に起き、仮設住宅から漁場まで片道20キロの悪路を往復しています。
「応援してくれる人たちがいなければとても続けられなかった」そう語る榊照子さん。
今年も無事完成した焼きハゼの陰には、支援を続ける人たちの姿がありました。
番組では多くの人を惹きつける伝統の焼きハゼと仙台雑煮の魅力に迫りつつ、震災から立ち上がる被災地の生産者の歩みを追います。
ナレーター:大友康平(宮城県塩釜市出身)
◇ディレクター:畠山 督(東北放送)◇
とにかく遠かった! 仙台から石巻市の漁場までは、高速道路経由で通常なら約2時間。しかし、三陸自動車道は東日本大震災の復旧工事で夜間通行止め、漁に間に合うよう未明に仙台を出発すると昼間より余計時間がかかってしまいます。そして、最後の5キロほどは、車ではすれ違いも出来ないような舗装されていない道が一本だけで、その周りは未だに水が引かず海と区別がつかない、もちろん電気も復旧していないので、あたりは真っ暗・・。震災から1年半以上が過ぎ、私自身同じ宮城県内で暮らしていながら、被災地との心理的な距離がどんどん広がっていると実感しました。
伊達政宗の気風を受け継ぎ、その豪華さは全国屈指とも云われる仙台雑煮。本来は脇役のダシ「焼きハゼ」がこの番組の主役です。取材した榊さんがつくる「焼きハゼ」は震災前から評判でした。その為には新鮮なハゼをじっくり焼き、一週間毎日燻すという手間がかかります。毎朝午前4時に起き、仮設住宅から片道20キロの悪路を海まで通い、漁をし、支援者がつくってくれた小屋でハゼを焼き、燻しています。「津波で亡くなった父親から教わった焼きハゼづくりを絶やしたくない」「おいしいと言ってくれる人達、待っていてくれる人達がいるから続けられる」「もうお金の為ではない」。何を綺麗事をと思う人もいるかもしれませんが、実際に接したその働きぶりには、本当に頭が下がる思いでした。
榊さんの焼きハゼで作る仙台雑煮の味は驚きです。「ハゼ=生臭い」という先入観が吹き飛ぶ風味です。その上品さは、まるで榊さんの心根を現わしているかのようです。あれだけの事があっても失われなかった絶品の味と、それを支える人々の懸命さを全国の視聴者に感じてもらい、被災地との”距離”を少しでも縮める事が出来ればと願っています。
◆番組でご紹介した情報◆
■仙台文学館 杜の小径 (もりのこみち)
(メニューに榊さんの焼きハゼを使った仙台雑煮があります ※数量限定です)
【住所】 981-0902 宮城県仙台市青葉区北根2-7-1
【電話】 022-271-3020
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