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2012年8月12日(日)(テレビ朝日 放送) 北海道放送制作 協力 文部科学省
“ムツゴロウさん”の愛称で知られる作家、畑正憲さん(77歳)。動物と仲良くなる術は天下一品だが、実はムツゴロウさん、料理も“スゴ腕”。「食べ物はすべて生き物から来ている。動物好きの私が料理に関心を持つのは当然」と語る。その独創的なレシピは、動物学の知識に加えて、取材旅行で世界百カ国以上の料理を食べてきた経験に裏打ちされている。北海道のシカ肉をモロッコの羊料理や更にはメキシコのサボテンと合わせたり、サケをマルセイユのスープ料理に化けさせたり……。
家族の反応は、最初は「うそ!」、食べたら「すごい!」。どれも、ムツゴロウさんにしか作れない「世界で一つの料理」だ。調理しながら語る薀蓄(うんちく)もスパイスのうち。賑やかで温かな「ムツゴロウの食卓」を一年間見つめた。取材を進めるうち、ムツゴロウさんが意外な過去を語り始めた。8月になると蘇って「やりきれない思いにとらわれる」という、旧満州での少年時代の記憶……それは「命」と関わる仕事を選んだムツゴロウさんの原点でもあった。
◇ディレクター:河野 啓(北海道放送)◇
博識。情熱的。そしてチャーミング。「ムツゴロウさん」こと畑正憲さんは、喜寿にしてなお意気軒昂です。「野生の命と向き合うときは、こっちが命を捨てるんです」さらりとそう言ってのける人は、世界広しといえども畑さんだけでは? その畑さんが大のグルメで料理についての本まで出していると知ってちょっと意外な気がしましたが、ご本人の「食べ物はすべて生き物から来てますから」の一言に納得。食べることは命をいただくこと。鹿をメスでさばくシーンを、オブラートに包むことなく番組内に構成したのも、畑さんと制作者のメッセージです。それにしても畑さんの料理のアイデアには、脱帽、驚嘆。食べ物をおいしく工夫して食べることも、動物への礼儀、だと改めて痛感しました。そして畑さんが語った、少年期の記憶…「8月に奪われた命」への哀切の思いも胸に響きました。「食」の根底にある「命」を見つめる番組です。
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