2011年12月18日(日)(テレビ朝日放送) 北陸放送制作 協力 文部科学省
食べ物の生産や流通が発達した現代、店頭では野菜や魚介類が季節を問わずに売られています。便利さとは裏腹に、都会では特に季節感を忘れてしまいそうになりますが、金沢では「旬」の食べ物にこだわった暮らしが脈々と続いています。
11月にはカニが解禁、金沢市民の台所「近江町市場」にはカニを目当てにした買い物客が殺到し、夏になれば「ドジョウの蒲焼き」をほおばる。日頃の昼食で、脂がのった旬の魚や刺身を普通に食べる。贅沢な食文化が育まれているのです。
豊かな自然に恵まれ季節の移ろいを愛でる金沢の人々は、その「季節感」を料理にも求めます。加賀料理では、「九谷焼」などの華やかな食器を用います。器が華やかな分、料理も器に負けない位に美しく盛りつけて、調和の取れたひとつの「景色」のように楽しむのです。
そして「人生の旬」とも言える結婚式。背開きにした大鯛に卯の花を詰め込んで腹合わせに並べた伝統料理「鯛の唐蒸し」を分け合い、幸せを共有する…。
時にはカニに熱狂し、時には風情を楽しむように「旬」の食材にこだわる金沢の人々の暮らしと食文化をご紹介します。
◇ディレクター:太田 武志(北陸放送)◇
「金沢の人たちが、いかに”旬”を大切にした食文化を楽しんでいるか」をテーマに番組を作りました。その中で、金沢の人のカニを愛する気持ちに改めて触れることができました。例えば、宴会でカニが登場したときの歓声や、食べているときの幸せそうな表情。そして毎年ローカルニュースで目にするのが、カニ解禁で近江町市場に殺到する人たち。その一人一人のお顔がとっても嬉しそうなんです。ある人は贈り物用に買い、親戚やお世話になった人の喜ぶ顔を思いながら…。ある人は家族団らんの食卓を思いながら…。と、単にお祭り騒ぎ的な盛り上がりだけではなく、人と人とのつながりや、思いやる愛情みたいなものが介在する、金沢の人たちにとってカニはそんな「力」がある存在なんです。番組ではそんな金沢の人たちの思いや表情がよく表せたと思います。そしておいしそうなカニ料理の映像もふんだんに…。
また、金沢の人たちが普段の食事にも旬を求め、結婚式という節目の料理も大切にしている様子も取材しました。
ただ、地元では当たり前のことなので、インタビューに苦労しました。旬のものがあふれる幸せを改めて認識し、言葉にすることってなかなかありませんから…。かえって県外の人が良く分かっていて、「金沢の人はうらやましい」と言った言葉に、金沢の食文化の豊かさを再認識させていただきました。
ところで、原発事故の影響で東北では魚一匹・野菜ひとつを食べるのにも心配がつきまとっていると思います。そんな中で金沢では旬の料理を心配することなく堪能することが出来る。番組を作りながら、申し訳ないような気持ちになりました。東北の方々が一日も早く元の生活に戻れるように、そして金沢と同じようになんの心配もなく「旬」の料理を楽しめるように…と願わずにはいられません。
と同時に、番組をご覧になった方々が、金沢の、そしてご自身の故郷の自然と旬の喜びに、今一度目を向けてもらえるきっかけになれば…と思います。
◆鯛の唐蒸しに詰まっているのは 新郎新婦の幸せを願う気持ち◆
◆加賀料理は”季節感”でもてなす総合演出◆
◆日本の自然がくれる旬の喜びに感謝◆
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