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2011年1月22日(土)(テレビ朝日OA) 北海道放送制作
佐々木十美(とみ)さん(59歳)は、北海道・置戸町で〝とびっきり美味しい学校給食〟を作ると評判の、ベテラン管理栄養士。給食作り一筋に、そのキャリアはまもなく40年です。置戸町で、子ども時代を過ごした人にとって、佐々木さんの作る給食は、もう一つの“おふくろの味”。3週間も寝かせたカレーは、ルーから手作りする、ピリリと辛い本格派!魚は、大きな骨がついたまま子どもたちの元へ!
佐々木さんの信条は、子供に媚びない給食作りと、徹底した美味しさの追求です。自らを“給食の鬼”といい、旬の食材を求め、ヒグマが出没する森にだって分け入ります。「本物の味を知る機会を、たくさん作ってあげたい!」すべては、“食べる力”を育てるためと話します。北海道の小さな町で、給食作りに人生をかけ奮闘する佐々木十美さん。美味しい給食に込められた、子どもたちへの思いを探ります。
◆子どもの味覚を育てたい
◆給食は子どもが主役
◆食べることをおざなりにしない
◆子どもにこびない給食
◇ディレクター:岩崎 健次郎◇
子どもの頃に食べた学校給食に、それほどいい思い出がありません。脱脂粉乳をといた飲み物。生臭い魚がドンと入った、クリームシチュー。パサついたパン。私は今回の主人公・佐々木十美さんと同じ年齢の59歳。記憶に残る給食とは、まるで美味しさと無縁の、お腹を満たすだけの、お昼ごはんです。果たして、美味しい給食などあるのだろうか?もしもあるなら、子どもたちが喜ぶ献立がズラリと並ぶ〝イマドキの給食〟というだけではないのか?そんな思いを抱きながら、ロケ初日を迎えました。
『まずは、給食を食べてみて下さい』十美さんが、私たちに用意していたのは、とてつもなく巨大なエビフライが乗った、名物の辛口カレーライス。一口食べてみて、その辛さに驚き、美味しさにビックリしました。「これが本当に給食なのか?」俄然、十美さんの給食作りに興味がわいてきました。(ロケ中、給食を頂くのも、何よりの楽しみとなりましたが…)
十美さんは〝食育〟という言葉を、あまり好きではありません。一つの言葉で括るのではなく〝食べる〟という当たり前の行為を、当たり前に考え、子どもに伝えるだけのことなのだから…と。『給食作りは、子どもたちが主役!』『子どもには媚びないことが、本物の美味しさを伝え、食べる力を育てる!』そうした信念のもと、40年もの間、一貫して給食作りの現場に立ってきた、佐々木十美さん。
当たり前のように、手間を惜しまず、手を抜かず、自分の仕事の先に、一体、誰がいるのか?ベテラン管理栄養士・佐々木十美さんの仕事ぶりを取材するにつれ、私は今さらながら、長年、テレビの制作現場に身をおく、自分の仕事について、見つめ直す機会を得ました。『番組の主役は、視聴者!』『媚びるのではなく、思いを込め、キチンと伝える姿勢こそが、番組作りのあるべき姿ではないのか…』
私と同じ59歳の、十美さんから『背筋をピンと伸ばして、真剣勝負せよ!』そんな風に諭された思いです。徹夜続きの編集は明けましたが〝どう仕事と向き合うのか〟それを真剣に思うと、なかなか眠れない日々が続きそうです。
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