2009年10月3日(土)(テレビ朝日OA) 山形放送制作
どんどん姿を消す駄菓子屋さんの中にあって、今年で41年目を迎える元気な駄菓子屋さんがあります。山形市内の住宅地にある「はじめや」。「近頃の子供は外で遊ばなくなった…」「ゲームばっかりしている」そんな声が多い中で、ここでは小さな子も大きな子も一緒になって遊びに没頭しています。子供たちは、公園と“基地”になっている「はじめや」をいったりきたり。店にはいつも変わらぬ笑顔で、しかし時には厳しく叱ってくれるおばちゃん・山川昭子さん(65歳)が居ます。自動販売機やガチャポンを置かず、対面での、手から手へのやりとりにこだわり、子供たちの「?はてな」に応えてくれる大切な大人です。コミュニケーション能力が低下していると言われる今、「子供が子供でいられる駄菓子屋」の日常を追いながら、現代社会が失いつつある「つながり」や「ぬくもり」「やくわり」。10円のお菓子で感じることができた“幸福感”の源を見つめなおします。
◇ディレクター:堀越 武彦◇
「はじめや」と隣り合わせのみなみ公園を訪れた時、自分の子供の頃と変わらない“昭和”的な光景に驚き、安堵しました。大人になると、子供の頃を忘れてしまいます。世の中がめまぐるしく変わる中にあって、血の通った、ゆっくりとしたやりとりが繰り広げられる駄菓子屋に身を置くと、私の中の“昭和への回帰”というか…何とも言えない感情が込み上げ、涙すら出てくるのです。つまりはその時、多忙に訴えて疎かしていた基本的な人間関係とか、自分も失くしかけていたものに気付かされるのです。「自分はここまで、一人の力で大きくなった訳じゃない」。
何でも、欲しいものや情報が手に入る時代ですが、それを享受するまでが複雑かつ煩わしく感じます。でも、なんとなく距離を置いていた人間関係づくりには手間をかけていきたいと思いました。
「はじめや」に足を運ぶようになって以前より、自分の子供に対し正面から向き合い、優しくなれている気がします。
~今日の言葉~ ◆子供の育みに手間を惜しまない◆
「はじめや」はただ単に体をおいておく場所ではなく、その時の状態をまるごと受け止めてくれる、子供たちにとって最高の居場所でした。
子供の育みに手間を惜しまない昭子おばちゃん。
大人と子供の世界をつないでくれる、ちゃんと聞いてくれる大人がいる環境の中で、子供たちはつながりやぬくもり、役割を学んでいきます。
利益や効率が求められる時代に逆行するだがし屋。でも目まぐるしく変わる世の中こそゆっくりとした信頼し合える人間関係を築くことが、必要なのではないでしょうか。
あと10年は頑張りたいというおばちゃんのもとへ、これからもここを巣立った、元子供たちが元気な姿を見せに戻ってくることでしょう。
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