其の57 サヨばあちゃんの無人駅

2009年8月8日(土)(テレビ朝日OA) 静岡放送制作

山懐に抱かれた小さな町で屈指の茶の産地の静岡県島田市川根町。この町に抜里(ぬくり)駅という小さな無人駅があり、公民館としても利用されています。駅舎の窓からは賑やかに惣菜を作る主婦たちの姿がありました。中心となっている諸田サヨさん「73歳」は、村の女性達に声をかけ、この活動を始めました。この地区は高齢化が進み、200世帯のうち20世帯が老人の一人暮らしです。サヨさんは、そんなお年寄り達を心配して、おしゃべりがてら出張販売にも出向きます。しかし、サヨさんもまた孤独な老人でした。一人暮らしのなかで、死の淵をさまようつらい病も患った事もあります。その経験が、サヨさんに人生を見つめ直す機会を与えたのです。駅で真心込めた惣菜を作り、村のお年寄りに手渡しながら、悩みを分かち合い、励ましあい、ふれあいを楽しむ。そんなサヨさんのいる無人駅は、温かさに包まれています。



◇ディレクター:阿部朋也◇
手作りの惣菜をお盆にのせ、山間いの村を奔走するサヨさん。年齢は73歳。明るく、パワフルに活動し、元気を失った同年代の老人に、元気と勇気を与えます。そんな活動のなかで、一年前奥さんを亡くし、独り暮らしするおじいさんと出会いました。彼は、毎日、村の老人が集まる畑に、寂しさを紛らわすため通っています。自分の幸せよりも、他人の幸せを願うサヨさんは、惣菜をきっかけに、彼と会話を進める日々。私は、優しさ・思いやりを失った現代社会において、サヨさんの姿を撮影していくうちに、引き込まれると同時に、この優しさの源はどこからくるものだろうと思いました。その背景には、サヨさんの幼少期に過ごした満州国での経験でした。人間の底えを見続けてきたサヨさんには、「人の為に生きていこう」という決意があったのです。取材を通し、人間の在るべき姿を痛感した一春でした。



贅沢なものは、困っている人に分けてあげたい。これがサヨさんの生き方です。
◆老いに負けるな◆
サヨさんの住む山間の町は、200世帯のうち、およそ20世帯が老人の一人暮らし。
◆幸せは共有するもの◆
老いや孤独と切り離せない日常にあって、73歳のサヨさんは、驚くほど明るくパワフルに、日々活動しています。
「お金にかえられない、みんなの素敵な元気が私にはそれが宝物になっちゃう。」
◆過去を糧に『今を生きる』◆
自分のためでなく、誰かのために生きていきたいという言葉には、
過去に辛い体験を重ねたサヨさんの思いが凝縮されています。
誰からも慕われ、みんなに元気を与えるサヨさん。
◆自分の力で生き抜き みんなが幸せになること◆
そんなサヨさんの夢は、自分の力で生き抜き、みんなが幸せになることだそうです。

大井川鐵道・抜里駅 静岡県島田市川根町抜里
「麦の会」 代表:諸田サヨさん

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