2009年6月13日(土)(テレビ朝日OA) 青森放送制作
青森県の津軽地方に明治時代から伝わる「金多豆蔵」という人形芝居があります。酒好きで情けの深い「金多」とおしゃべりだけど義理堅い「豆蔵」の2体の人形が津軽弁で漫才をしたり、冒険をする中に世相を嘆いたり、笑い飛ばしたりするというもの。金多豆蔵は100年以上にも渡って地域の人たちに笑いを届け愛されてきました。現在、人形芝居の座長を務めるのは木村巌さん(44歳)。米農家を営む木村さんは農作業の合間を縫って姉と二人で活動を続けています。娯楽が多様化する現代にあって、金多豆蔵の人形芝居はかつてのような引き合いはありません。同じ津軽地方に居ながら津軽弁のセリフの意味が分からないという声を聞くこともあります。一方で、木村さんの活動に共感を覚え人形芝居の定期公演を提案して応援する地元ホテルの協力者も現れました。時代の狭間で伝統を守り伝えることの難しさを実感しながらも精力的に活動を続ける木村さんの人間力に迫ります。
◇ディレクター:本宮修司◇
私が初めて金多豆蔵人形芝居を観劇したときのお客さんは、たったの5人。木村さんはその5人のために一時間の公演を一生懸命に行ってくれました。一般庶民と等身大のキャラクター、金多と豆蔵がとにかく笑わせてくれました。100年前から伝わる津軽のお笑いがそこには満載で、動作や台詞がいちいち可笑しいのです。地域に人たちに愛されてきた理由を実感すると同時に、お客さんの少なさに寂しさを覚えたのも正直なところです。津軽地方に暮らす年配の世代で金多豆蔵を知らない人はほとんどいません。その人気の秘密は人形芝居の面白さはもちろんですが、先代たちが小さな村々を細かく回って公演活動を行い、その認知度を高めたことにあります。今、金多豆蔵を知らない世代が増えているのが実情です。木村さん自身、たくさんの人に見てもらおうとボランティアで公演活動も行っています。金多豆蔵を知らない世代の人たちにその存在自体を広めることが、この津軽の伝統を守り育てる手段のひとつなのかもしれません。世はまさにお笑いブーム。金多豆蔵のお笑いも是非、知ってもらいたいと思わずにはいられません。
津軽伝統、金多豆蔵人形一座、
三代目座長の木村巌さんはお姉さんと二人でこの伝統芸能を守っています。
◆誰かがやらなければ大切なものが消えてしまう◆
誰かがやらなければ大切なものが消えてしまう。師匠に弟子入りした30年前から、その思いに変わりはありません。
◆人形は心を移す鏡 辛いときこそ前を向け◆
辛い時こそ前を向いて、これまで様々な困難を乗り越えてきました。
最近になって文化的価値も認められました。
◆今、自分に出来ること それは人形芝居を続けること◆
人形芝居と続けること。それが今、自分に出来ることの一つと考え、活動を続けています。
◆人形芝居という木を 後世に残る大木にしたい◆
夢は後継者を育て、人形芝居という木を後世にも残る大木にしたいということです。
木村さんの挑戦はこれからも続きます。
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