其の13 だって気持ちいいんだもん~自分たちの力による校庭芝生化~

2008年07月26日(土)(テレビ朝日OA) 日本海テレビジョン制作

今、校庭の芝生化が全国で注目されています。その普及拡大の一翼を担っているのが「鳥取方式」と呼ばれる新たな芝生化です。日本で芝生と言えば綺麗な庭園や競技場を想像します。芝生が傷むからとの理由で立ち入り禁止や利用制限があるのが常です。一般人にとっては敷居が高く、こうした状況が「芝生は高価で維持管理が大変」という芝生に対する固定観念を日本人の中に自然に植え付けてきたのかも知れません。そんな日本の常識に風穴を開ける人物が現れました。鳥取市在住のニュージーランド人ニール・スミス氏です。彼は6年前にNPO法人を立ち上げ、鳥取県が管理していた2万平方mの牧草地を借り受け、地域住民と芝生専門の大学教授の力を借りながら、安価で維持管理が容易な新たな芝生化のスタイルを確立しました。そして全国の校庭を芝生化しようと踏み出したのです。「校庭は土であるべき」という声や行政の壁にぶつかりながらも、彼は地道に賛同者を増やし、全国各地に鳥取方式による校庭の芝生化が広まりつつあります。ニール氏の情熱と気概、校庭の芝生化が地域住民や子どもたちの心身両面に何をもたらしたのか?各地の事例を元に探っていきます。



◆疑問をそのままにせず自ら行動◆
「なぜ日本の校庭は土ばかりなんだろう?」これまでに来日した数多くの外国人が、実は同じ疑問を抱いてきたのかも知れません。ニールさんは、その疑問をうやむやにせず自ら行動を起こしました。
◆日本の常識への挑戦◆
それは「芝生はお金と手間がかかりすぎる」といった日本の常識への挑戦でもあったのです。

◆本気になれば住民も動き出す◆
ニールさんの問いかけは、「校庭と公園は行政が作るもの」という、これまた日本人の固定概念を見事に打ち破り住民参加の流れを作り出しました。考えてみると、TVゲームでは決して味わえない子どもたちが生身で気持ち良い、楽しいって感じられるものを私たち大人が見いだせずにいたのかも知れません。ニールさんには脱帽です。でも私たち日本人の感度も大したものです。
◆夢…全国の校庭を芝生に◆
ニールさんが25年かかるといっていた予想を見事に覆し芝生の校庭がどんどん広がっているんですから・・・
◇ナビゲーター:福浜隆宏(日本海テレビジョン放送アナウンサー)◇


◇ディレクター:日本海テレビジョン 福浜隆宏◇
TVゲームやカードゲームに没頭する子どもたちが増えているのは、単純な理由だと思う。面白いし楽しいし『気楽』だからだ。
一世代前は外で群れないと楽しみがなかった。だから必死に仲間を集めたり、自分の都合を後回しにしたり。集まったら集まったで、一人一人やりたいことがバラバラでひと悶着。つまり、群れて遊ぶというのは決して『気楽』には出来ないことで、人と付き合う術・調整力、引いては生きる力が自然に磨かれていたのかも知れない。
・今回取材したニールさんが提唱する「鳥取方式」で校庭を芝生化した学校では、どこも外遊びの子どもの数が増えたという。「裸足で駆け回ると気持ちいい」という、人として持って生まれた本能が、外に駆り出した最たる理由だと想像するが、群れる=『気楽』ではない=『ウザイ』ことに慣れていない現代の子どもたちが、群れる機会が増えることによってどう変わっていくのか、とても楽しみだ。何だかワクワクしてしまうし、実際本編中の大社小学校の学校長のコメントにもあったように、子どもの心に変化の兆しが垣間見えている。
あまり時間はかからずに変わっていくような気がする。変わったのは子どもたちを取り巻く社会・環境であって、子どもたちの本質に今も昔も違いはないのだから・・・。
そして子どもだけではなく、地域住民も「子どものためなら」と、自助努力・行政との協働に取り組みやすい点で、鳥取方式は非常に興味深い。

◇ミニデータ◇
・本編CG(データ元:NPO法人グリーンスポーツ鳥取)で示した鳥取方式の全国への普及で、全国で144箇所(グリーンスポーツ鳥取調べ)と紹介しましたが、正確には1箇所とカウントした埼玉県が「5~6箇所」で、合計150箇所になりそうです。
・これはJリーグが進める芝生化普及事業に、ニール氏が代表を務めるNPO法人グリーンスポーツ鳥取が技術協力して実施しているもので、6月中旬現在、植え付け候補地が固まっていないためです。(今年度、埼玉で準備されたポット苗数は5~6校分相当。)
・全国組織が確立している日本サッカー協会とのタイアップによって、一気に芝生のグラウンドが全国に広まる可能性を秘めているともいえる。

 

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